6月10日、日電協(兼次民喜理事長)は都内のホテルで第42回通常総会を開催した。
総会後、記者会見(代表取材)が行われ、兼次理事長はあいさつで次のように語った。
「この1年、2年、去年の総会から1年ですが、規則の経過措置の延長の最終年度だった。最初の頃は、ホールさんも、旧規則の遊技機を大事に使われて、計画的な撤去ということで非常に苦労しましたが、終わってみれば無事に終了したということでひと安心ということになりました。その間に遊技機、とくにパチンコに比べて遅れていたパチスロにつきましても、行政へのいろいろな要望、相談がようやくご理解いただき、自主規制の見直しの範疇ですが、そこそこゲーム性の向上が期待できるスペックをお許しいただけましたので、ここから4000ゲーム機、さらには秋以降のスマスロへとつなげて、ホールさんにとってはパチンコの片肺飛行の状況ですので、パチスロも遅ればせながら、今年の後半に向けて追う形ができるようになると思っております」
<質疑応答(以下、出席記者による書き起こしテキスト/原文ママ)>
Q:スマートパチスロについて、具体的な機種の発表時期や供給台数、現状の課題など、可能な範囲でお伺いできればと思います。
兼次理事長 ご存知のようにいま、世界的な電子部品のひっ迫がまだまだ続いていまして、3月24日に日工組と日電協が共同で発表させて頂きましたが、スマート遊技機に使用するスマート遊技機対応ユニットの供給の見通しが遅れていることを受けまして、スマートパチスロにつきましては今年の11月、日工組のスマパチにつきましては来年の1月以降という発表をさせていただきましたが、現状はその通りでございます。
スマスロの供給台数の見通しの質問ですが、私ども遊技機メーカーとしては、売れるだけ売りたいとは思っていますが、スマスロはユニットが必須、ないと動かないものですので、ユニットの供給台数の見通しがスマスロの供給台数の最大になります。
ユニットの供給量はまだ流動的ですが、本年の11月から来年3月ごろまでに10万台以上15万台未満という範囲で供給されると思いますので、スマスロは、その範囲しか初期は販売できないというところです。
具体的な機種については、5月末で日電協、日工組、合わせて5~6社がスマスロの型式申請をしている。これはいずれ増えていくものと思いますが、メーカーさんによっては少し遅れていくメーカーもあると思いますので、最終的にスタートの時点で何社が出揃うかというところは、確定ではないものの10社前後あればいい方ではないか。状況によっては8社8機種かもしれません。そういう状況です。
Q:スマート遊技機における「遊技機情報センタ」の運用形態についてお聞かせください(情報管理・監視体制、不正・データ異常発見時の対応等)。
兼次理事長 これにつきましては、先ほど理事に選任されました岩堀さんから専門的な部分からのお答えとさせていただきます。岩堀理事、お願いいたします。
岩堀理事 兼次理事長に代わりましてご説明します。この「遊技機情報センタ」については、ホール様の方から情報がセンタに上がることから、きっちりと管理してほしいということで、日電協では、日工組と同じ形で情報管理規定を作り、先ほどの総会でその管理規定について承認をいただいております。そうしたことからも、データについては厳重に管理をするという形になるかと思います。
その情報の目的は大きくは2つあります。1つは依存症対策の観点から過度の射幸性を抑えるということに使用するというものです。もう1つは不正改造の防止のためにこのデータを使うということです。
「不正データの発見時の対応」というご質問ですが、これについては、センタでは、もし不正の恐れのあるデータを発見した場合には、自動でアラームが鳴るような仕組みになっておりますので、それが鳴った時には、その該当メーカーがホールに出向くか、ホールに「この台がちょっとおかしいですよ」ということで、ゴト師による不正行為と不正改造を発見するために、当該ホールへ検査に行くというような形で対応をしていくことを検討しています。これについて、今後、規約化、規定化をしていく予定となっています。
Q:スマートパチスロ周知のために業界向け及びファン向けイベントの開催をお考えでしょうか。
兼次理事長 5月19日にホール4団体の幹部の方々に対し事前に説明を終えておりますが、7月19日に全日遊連様でいうところの51都府県方面の全ての組合長の皆さんなど約300人を東京ドームホテルの東京会場に、zoomで約1万人の店長さんなどご招待して全てのご説明をホールの実務者向けにさせていただく予定にしております。ファン向けのイベントについては、今のところ具体的な計画はないのですが、各社の遊技機が出揃ったところで、イベント開催について検討していきたいと考えております。ただ、日電協では「パチスロサミットONLINE」のコンテンツの中で、スマスロの特集とご紹介はするかもしれません。
Q:6月から6.5号機の市場導入が始まっています。現状の販売状況や今後の供給見通し、6.5号機に対するホールの受け止め方について聞かせていただけますでしょうか?
兼次理事長 6.5号機はいわゆる4,000G機の差枚数管理の遊技機ですが、現在まだ2機種しか導入されておりません。2機種で約5,000台程度ではないかと思っております。一方で20程度の型式の適合を受けておりますので、今後はパチスロ140万台のうち、Aタイプ、30φを除いて約100万台のAT機が対象となるだろうと思っております。
4,000G機も従来の6号機に比べるとかなりのゲーム性の向上がみられますので、十分、戦力になると思います。それとスマスロにつきましても、ユニットとのセット使うものですので、一朝一夕にスマスロに変わるということではなく、スマスロの普及と併せて4000G機は併売されていくと思います。スペックだけのご説明でいえば、ファンのやめ時がわかる有利区間の報知がなくなりますし、2400枚が差枚数管理になりますから、必ずいい結果が出るはずだと思っております。
1機種(=キャッツ・アイ)はまだ導入して数日ですが、SISデータを見ますと17,000から18,000枚稼働と上から2番目の稼働を示しています。2、3日では遊技機の評価は語れませんが、順当な動きはしています。これからいろいろなゲーム性を凝らした機械が今月末から来月にかけ入っていくと思いますので、必ずやホール様に評価いただけると思っています。
その後のスマスロについては、ホールさんも専用ユニット、HC-BOXなどの設備投資が必要なわけですから、費用面のご心配がありますね。そのほかにもISDN回線を使っているホールさんもまだ多数ありますから、それを光回線にする通信設備の問題もあります。「ユニットの供給台数が少ない中、ユニットを公平に販売してくれるのか」など色んな要望もございますので、真摯に対応し、安心して導入いただけるような形を取らせていただきたいと思います。(以上)
なお、令和3年度(令和3年4月1日〜令和4年3月31日)の証紙発給枚数は49万4009枚で令和2年度の26万5822枚に比べ85.8%の増となった。