第45回 ツイッター上にいるプチ有名人たちに聞く
雑誌や動画などの媒体に所属していないただのアルバイトスタッフに、数千人のフォロワーがつく時代になってきた。ツイッター上でわざわざ本人が語らなそうなことを、第三者であるPiDEAが根掘り葉ほりする。
PiDEA編集部(以下略編) :今回は新潟県ミッドガーデン新発田店で働いているパリピ系店員のまいまいさんを取材します。まいまいさんって本当にただの社員さんなんですか、タレントさんとかではない?
まいまい(以下略ま):今年で10年目のただの社員です(笑)。
編:大学か高校を出て10年ってことは……。
ま:なんですかー?
編:す、すみません。余計な詮索でした(笑)。Twitterを運用するようになったきっかけはなんだったのでしょうか。
ま:元々店内で流すための景品販売促進の動画を作っていて、その動画を会社が評価してくれて、それをきっかけに「Twitterをやってみない?」と声をかけてもらいました。
編:店内の販促動画がきっかけですか。スカウトしてくれたのは当時の店長とか?
ま:本部の方が直接スカウトに。
編:ある日謎の偉そうな人たちが店にやってきたのですね。
ま:Twitter自体やったことなくって、「Twitterってなんなんだろう?」というところからのスタートでした。
編:それで1年で1万人いっちゃうんだからすごい。みんなまいまいさんの動画とか面白いと思っていると思うんですけども、どうやってフォロワーは増えていったんですか。
ま:……どう…やって増やしていったんだろう?
編:ご本人も謎のようです(笑)。
ま:あ、でも、最初はすごい加工して可愛く撮った写真を一生懸命上げて頑張ってたんですけど、なんか、「これは私じゃないな」と思い始めまして。
編:はいはい。
ま:そこから動画を撮って編集したりして、自分がやってみたいこととか、どんどん自分を出していったんです。自分が面白いと思うものを。
編:ある意味、むき出しのまんまなワケですよね。
ま:たしかにTwitterは裏表がまったくないですね。キラキラとかよりも自分が楽しいことをどうしても優先しちゃうんですよ。
編:まいまいさんおキレイですが、結構お顔に派手にメイクされたりヨゴレキャラもやられたり、動画に乗せるワードのチョイスも面白くてすごくクリエイティブですよね。
ま:自分ではそんな風に思ってなくて、今そう言ってもらえてびっくりしています。やばーい。嬉しい。
編:何かを参考にしたりしているんですか。
ま:えーないです。なにも参考にしていない(笑)。
編:自分の中で何を軸にツイートしているんですか。どこか特定の層を狙っているとか。
ま:どこも狙ってないです(笑)。
編:そ、そうですか。ではあの顔を塗ったりする系のやつはどうやって始まったんですか。
ま:実自分の中のことなので理由なんてないんですけど、ある日カッパになろうと思ったんですよ。
編:カッパ!?!?
ま:きゅうりを持って、顔面を全部緑にして、唇を黄色に塗ったくった写真をツイートしたんです。
編:かわいい感じの写真できてたところにいきなりカッパ。フォロワーの方もびっくりされたんじゃないですか。
ま:すごくみんなびっくりしたと思うんです。そのツイートでフォロワーはびっくりするくらい減りました。
編:減ったんかーい(笑)。それきっかけで増えたっていう話かと思ったら。なぜカッパになったんですか?
ま:フォロワーが3000人くらいの頃です。それまでの可愛い路線というのが自分らしくないのでどうしても路線変更したくなっちゃって。
編:Twitterの管理は誰がなさってるんですか。
ま:本部の人たちですね。
編:本部の人たちにはカッパやることは事前に言ったんですか。
ま:「ツイートを見てびびった」って言ってました。
編:そりゃそうでしょうよ(笑)。でも運用は結構自由なんですね。
ま:最低限のルールだけは守って自由にやらせてもらっています。
編:まいまいさんが思う「面白い」ってなんですか。
ま:分かりません。でもちっちゃい頃から新聞とか教科書とか人の顔に落書きしたり、家族が寝ていると私の餌食になって、起きてびっくりしてるのを見て笑ったりして育ってきたのかなと思います。
編:その描く対象がどういうわけか自分になったんですね。1万人フォロワー達成してこの先何を目指していますか。
ま:今、ミッドガールズという3人組で動画を出したりしてるんですけど、メンバーを増やしたり、動画の企画を考えたり、プロデューサーになりたいなと思っています。
編:演者としては卒業する時が来ると。
ま:元々、1年間やってみるということでTwitter自体スタートしたのですが、ずっとやれるものではないと思っています。だって、みんな若い子が好きだと思うので。そう思うと自分は若くはないし、そこが一番ですかね。
編:まいまいプロデュースですか。どんな風になるんだろう。
ま:破天荒がいいですね。今のメンバーに「白塗りできる?」って聞いたことがあるんですが、1人は「いいよ」って。もう1人は「嫌」って言ってました。
編:白塗り必須かよ(笑)。
ま:なんとかしてやらせます。
取材を終えて
「可愛い路線が自分らしくない」。ここまでは分かる。でも「よしカッパになろう」ってのはもはや理解不能。超常現象。でも、その後フォロワーが増えていまや1万人ですから正解だったということですね。今となってはご自分が出している写真について、「自分の中で納得しているので後悔がない」とのことです。ちなみに、まいまいさんがというわけではないですが、裏では本部の方が「カスタマーエクスペリエンス」とか「出口戦略」とか、しっかり考えて分析されているようです。無粋なので一切書きませんでしたけども。でも、まいまいさんは大丈夫。正真正銘のこのままの人でした。取材中もよく笑って、あまり考えていないようでいて鋭い感じなのでした。