岡野陽一のパチンコ人生訓 Vol.9「好きな世界で 生きていけていますか?」

2022.02.10 / 連載

「借金芸人」岡野陽一が送るPiDEA新連載!
パチンコを打っていく中で岡野陽一がたどり着いた人生の境地を、月替わりの金言とともに語る。

(※2021年12月中旬にインタビューした内容です)


今月の金言

「好きな世界で生きていけていますか?」

 

:岡野陽一

人力舎ってそこまで仕事を詰められないんです。吉本と違って。なので、年末年始はプライベートで三重県に行こうと考えております。それこそどうでもいい仕事だったら断ろうと思っているくらいです。

私という人間は比較的好きな世界で生きていけている方だとは思いますが、全部が全部好きな仕事ばかりではありません。ゲボ吐きそうなくらい緊張する番組もあります(これは良い意味)。反対に、変なカンペが出ることもしばしば。「失礼なことを言ってください」とかいきなり「金貸してと言って」みたいな。ウケるならいいですけど、変な感じになるんですよね(笑)。誰も責任とってくれないし。

あと他には、飲み会で社長を笑わせていくらみたいな宴会営業の妙なオファーもDMを通じてあったりします。そういうのは「事務所に連絡してください」って言って断ってもらっているんですけどね。

営業仕事となると大体土日だったりするので、中央競馬ができないじゃないですか。僕は仕事よりも人生を優先しています。お笑い芸人をやったら楽しく生きられそうという前提でこの仕事を選んでいるので、芸人という仕事がめっちゃ好きかというと微妙にニュアンスが違ったりするんです。

でも勘違いされたくないですけども、お笑いは大好きです。ショーレースとか好きですし、ネタ番組とかトーク番組とかも好きです。笑うっていう行為自体が楽しいですしね。

パチンコの仕事も今年くらいから何個かさせてもらっていますけど、「くずパチ」は割と自由なのでいいんですけど、他の仕事の時って禁止事項があったりするんですよ。びっくりしたのが、「激アツ」って言っちゃダメという仕事があったんです。液晶に出てるのに言えないもんだから、僕は「も、ものすごい3文字だー!」と言ったんですけどね。いくら好きといってもそういう仕事はなんか正しくないというかちょっとストレスになりますよね(笑)。

こんなこともありました。あるテレビ番組で、「放送時間的に借金とギャンブルの話は禁止で」と。そうすると何もないおじさんになってしまうんです。バランスって大事ですよね。

あと印象的だったのは「矢口真里の火曜The Night」っていうABEMAの仕事。僕がサブMCという立ち位置で、基本どこかのアイドルがくる番組なんですよ。それも最初はやめたくてしょうがなかったですね。そもそもMCなんてやったことなかったですし、僕が目立つより向こうを立たせないといけない。本当に嫌でしたね最初は。でも途中くらいからどうでもいいやとなって楽しくなっていったんです。

 

「巣に持ち帰って皆に話そう」 キツいほどラッキー♪と考える

番組が始まったのがコンビを解散してすぐのことでした。何が嫌かというと、生放送ですし、MCがうまくできない、スベったりする、とにかくできないことがバレるのが嫌だったんですね。うまいことできる人じゃないと薄々自分でも分かっていたけど、本当にできなかったんです。

毎回収録が終わるのが夜中の3時とかなんですけど、その番組の偉い人から5時くらいまでずっと「もっといろんなことを用意してこないとダメだよ」みたいなことを言われるんです。もちろんウケるようにするけど、ダメだった時に怒られても、逆に「そんな説教をしてできるようになると思うなよ!」と心の中では逆ギレしていました。説教は止まらなかったけど、気持ちは楽になりました。

すごいでかかったのは、MCの矢口さんと仲良くなってそれを話してからはめちゃめちゃ楽になった。そういうのって1人で抱えるとキツいけど、味方がいれば別に堪えられるんですよね。

芸人やっていて一番いいのってそこで、誰しもプライベートなり仕事なりで嫌なことってあると思いますが、マジで嫌な仕事をした時に、「巣に持ち帰ってみんなに話せるな」と。それを笑ってくれるから嫌なことでも「ラッキー♪」と思えるようになったんです。それもキツければキツいほどラッキーになる。巣があるっていうのが一番いいですよね。嫌であればあるほど反応もありますから。

もしも僕がお笑いを好きじゃなくなったとしたら? やめますやめます。「芸人なんて笑かしてるだけで金もらって」と言われるけど、スベるの怖い、ボケるのも怖いとなって楽しくなくなっていく人もいるんです。でも長く続けたものってやめにくいですよね、朝から1000回転ハメた時と同じで。好きじゃないってことは辛いわけでしょ? だったらやめればいいのになとシンプルに思っちゃいますね。そりゃ結婚とかして稼がないといけないとなればそう簡単にはやめれないんでしょうけど、それでも僕はやめていいと思いますけどね。

自分の望んだ通りじゃないことなんて当たり前ですし、好きなことって変わっていきますからね。「やりたいことできて今で満足です」と嘘でも言えれば勝ちというか幸せだと思います。

「そんな説教で(俺が)できるようになると 思うなよ!」と内心逆ギレしていました

   

岡野陽一のパチンコ人生訓, 芸人, くずパチ