岡野陽一のパチンコ人生訓 Vol.7「きれいなうんこ」、クズの主張

2021.12.10 / 連載

「借金芸人」岡野陽一が送るPiDEA新連載!
パチンコを打っていく中で岡野陽一がたどり着いた人生の境地を、月替わりの金言とともに語る。


今月の金言

「きれいなうんこ」、クズの主張

 

:岡野陽一

芸人をやりたいと思ってこの世界に飛び込んだのに、いつの間にかクズということが商売の種になっちゃったりしていて、ずっとこのままではいけないなとも思ったりします。

普通の人にも良い人・悪い人がいるように、クズの中にも良い悪いはあるんですよ。麻薬とか犯罪とか、悪魔は笑顔で近づいてくるんです。TwitterのDMなんかで、「金貸してください」と同じくらい「金貸します」というメールがくるんです。僕にしかメリットがないから、このまま進めばトラブルになるって絶対分かるじゃないですか。

だから僕は優しい人っていうのは信用していないんです。僕なんかに優しいって信用できないんですよね。だって変な話、地べたを這っているミミズに「うんうん分かるよ〜、お金貸そか?」ってめっちゃ優しくしてる人がいたら怪しいじゃないですか。

 

良いクズの基準は迷惑をかけるかかけないか

そもそも良いクズって、「きれいなうんこ」みたいなもので、言葉が矛盾していますよね。

僕はメディアに出る以上はずっときれいなうんこでいようとしているんですが、クズはムズいですよ。お笑いの現場とかなら良いでしょうけど、「実際に身の回りにいたら嫌かもしれない」とかよく言われます。

良いクズの基準って人に迷惑をかけるかかけないかだと思っています。プライドが高いとか、そういうのって周りから見ていて不快ですけど、迷惑はかかっていないじゃないですか。でも、不快なことは自分から防げるんですよ。

例えばね、誰もYouTube見てって言ってないのに「不快です」とか文句を送りつけてくる人。僕からすると、あなたからうんこに近づいてきて、「くさい」「最悪」と言ってきてんじゃないですかと。僕はそういう人たちの方がよっぽど悪いクズだと思っています。

「あなたは人からお金を借りて他人に迷惑かけているじゃないですか」と言ってくる人。うんこ側からすれば、お金を貸してくださっている方とはいつまでに返しますと合意の上なので、迷惑はかけてないんです(笑)。

不快なことは、それを受けとる側が防御することができるんです。迷惑というのはもう問題化してしまっているのでしょうがないけど、不快なものから身を守るためには自分が変わるしかないと思うんですよ。

 

バイト前日からの憂鬱感はマジで無駄な時間だった

単純に労力として考えた時に、人を変えるというのはめちゃめちゃムズい。でも、自分を変えるのなんて簡単です。労力もかからない。シンプルにこれ嫌だなと思っていたものを嫌じゃないと思えればそれで終わりです。

昔はよくありましたよね。バイトの面接に行くとか本当に嫌でした。でも、結局行かないと何も始まらないし、何よりそう思って悩んでいる時間が嫌じゃないですか。日雇いのバイトとかも、もう前の日の19時くらいからずっと嫌なんですよ。きついと分かっているので、パチンコなんかしていても19時くらいから「うぅっ」となってくる。

でもその時間ってマジで無駄じゃないですか? 楽しくゲームしていようが、パチンコしていようが、同じように嫌な時間はやってくる。だったら「明日9時から新台入替だな」と思っていれば楽しいし、そういうことって、人それぞれいっぱいあると思うんですよ。そのことに気付いてからは無駄に考えずに生きられるようになったんですよ。考えても考えなくても一緒だったなって。自分を変えるってそういうことだったんだなって。 

 

脳を改造して「良い負けだった」と思う

18歳から大学に通って24、5歳くらいまで毎日パチンコをやっていました。サークル活動とかキャンパスライフとかそういうことを思い描いていったはずなのに、ずっと京都の「デマッセ」にいただけでした。

パチンコ楽しかったなと思うと同時に、虚しさもやってくるわけです。みんなで飲んだり花見したり、まだそういうことに未練があった時期。まだ僕が人間だった頃の話です。

そういうところから僕は自分を正当化していく作業に入りました。本当の自分がどう考えていたか分からないけど、パチンコを何年も続けていくことで学ばせてもらったこともあったなと。パチンコの負けも一回一回向き合っているとつらいので、「良い負けだった」と思うようにすると気が楽になりました。

幸いなことに今はいろんなところからお仕事をいただくようになりましたが、ずっと売れない未来だったとしても僕は自分を正当化できると思います。今でもずっと働きたくないと思っていますし、月給10万くらいがちょうど良いし、「これでいいのだ」くらいのことをずっと言ってきました。

どんな状況でも楽しく思えるようにすることが理想で、脳の改造をすることが人生のテーマですから。

 

自分を変えれば不快なことから身を守れるんです 

 

岡野陽一のパチンコ人生訓