倉庫に眠る33万台超の認定・検定切れ機
11月17日、全日遊連が全国理事会で報告した「ホールの遊技機保管台数調査結果」によれば、9月末時点で自社倉庫、販売商社、運送業者、その他(処理業者・運送業者など)に保管されている遊技機は約127万6000台。そのうち約33万1000台が認定・検定切れの遊技機だった(回答率82.3%)。この保管されている使用済み遊技機のほかに、10月末時点で全国のパチンコホールに設置されている旧規則機は約99万3000台(内訳はパチンコ約42万3000台、パチスロ約57万台)に上る(※注/10月末の新規則機の設置比率P・S平均約74.4%(P約82.1%、S約62.6%)より算出)。
保管されている使用済み遊技機と現在設置されている旧規則機を額面通りに足し合わせるとその台数は約226万9000台ということになる。
このすべてが21世紀会が取り決めた1月末日までの旧規則機撤去により排出処分されるとまでは言えない。なぜなら保管されている使用済み遊技機の中に再稼働の可能性がある新規則機が含まれていたり、1月末日以降も検定・認定期限が残っている旧規則機は期限満了まで設置が可能であるためである。だが、どんなに少なく見積もっても約33万1000台の認定・検定切れ機と約99万3000台の旧規則機は、再びホールに設置されることできないため1月末を境にそのほとんどを排出処分せざるを得ないのが現状だ。
野積みによる社会問題化を再び繰り返さないために
100万台を優に超える遊技機が撤去され、排出される。そして、その排出された遊技機は当然のように適正な処理(=リサイクル)が求められている。
今から25年ほど前の1994年と95年、埼玉県の寄居町と栃木県の鹿沼市、宇都宮市で起きたパチンコ台の野積み問題は、古い業界人の胸に苦い思い出として深く刻み込まれている。新聞・テレビを始めメディア各社はこぞって大量の廃棄台が放置された現場を取り上げ、問題視する報道を流したことで当時、大きな社会問題となった。「同じ過ちを再び繰り返さない」 ---- それは企業、ひいては業界の「社会性」(社会的な存在意義)が問われる現代においては不可欠な意識である。
現在、遊技機の適正処理の判断基準となるのは、「遊技機リサイクル推進委員会」(日遊協、全日遊連、日工組、日電協、全商協、回胴遊商、愛材協の7団体)が制定した「使用済み遊技機の管理及び解体処理に関するガイドライン」(2017年4月制定)に則って処理をすること。この基準を満たしていると認められている指定業者は、日工組の広域回収システムに加盟している処理会社4社と、遊技機リサイクル協会に加盟している13社、および選定会社9社の合計26社だけである。
これらの企業(以下、指定業者)にホールが使用済み遊技機を排出すれば適正処理が担保される。しかし、それ以外の有価物買取業者に廃棄台が流出するとどうなるか。
懸念される非選定業者への排出台の流出
指定業者の1社である株式会社ユーコーリプロ常務取締役の金海基浩氏がこう話す。
「適正処理はガイドラインに厳格に規定されており、我々指定業者はこのガイドラインに基づく手作業中心の解体が厳しく義務づけられています。懸念されるのは指定を受けない非選定業者への流出です。これから大量に外される旧規則機のすべてが適正に処理されるのかどうか不安は禁じえません」
ガイドラインの縛りを受ける指定業者はその適正コストを日工組指定であれば日工組加盟メーカーから、リサイクル協会指定であればリサイクル協会加盟メーカーから受け取っている。しかし、指定業者以外の有価物買取業者はガイドラインの縛りをうけないため適正処理コストは受け取っていない。
つまり指定業者以外に流出した使用済み遊技機については適正処理が担保されないリスクを常に抱えているということになる。有価物買取り業者の中には液晶や基盤など必要な部品を抜いて後は売却したり不法投棄したりする輩も存在する。そうした不届きな業者はリサイクル作業の必要がないのでその分、買取価格を高く提示し、少しでも高く売りたいというホールに近づいてくるケースもある。
少しでも早めに検定・認定切れ機の排出を
不法投棄という業界バッシングの火種を払拭し、100万台を超える廃棄台を適正にリサイクル処理するために具体的に今、何が必要なのか。
前出の金海氏がこう訴える。
「最終期限の1月末から日を置かずして排出が集中した場合、弊社のようなリサイクル会社はむろんのこと運送会社も含めて、排出台の受入れがパンクしてしまう可能性が排除できません。こちらからお願いできる立場ではありませんが、最終期限が迫っている中で、少しでも早く、少しでも多くの使用済み遊技機を排出してもらえますよう、ご理解をいただけたら嬉しいです」
コロナ前の2019年の処理実績は日工組指定4社が年間で約100万台、リサイクル協会指定13社が同じく約14万台だった。同じ規模の台数を短期間で受け入れることになれば、保管スペースの面でも作業人員の面でも容量オーバーの懸念がある。
適正処理ラインの渋滞を避けるために求められるのは「分散」であり、そのためには倉庫に保管される不要台(検定も認定も切れた旧規則機)を早めに排出するか、集中撤去後の排出を分散し、段階的に減らしていく計画性である。
折からの世界的な部材不足の影響によりメーカー各社は旧規則機の買取りに力を入れている。条件的にもかなり良くなっているメーカーの買取情報はユーコーリプロのホームページに掲載されており、こうした情報は排出計画を立てる上で必要不可欠な情報と言えるだろう。
まずはユーコーリプロのホームページを覗いてみてほしい!