年収850万以上は今年から手取りが減る⁉︎①【FP王子の知っトクお金の秘密】

2020.02.12 / 連載

年金問題に消費増税。膨らみ続ける金融不安や悩みなど〝お金のアレコレ〟に人気ファイナンシャルプランナー高橋成壽が斬りこむ!

税制改正2020
年収850万以上は増税で手取りが減る⁉︎その対策は?

【前編】

令和2年に変更になった所得税の増税で、高所得者の税金が増えることになりました。具体的には、年収850万円以上の世帯を狙い撃ちしているのですが、対策するとしたら何をすればいいのでしょうか。
今回は改正された新たな所得税制度の概要を紹介します。

 

どんな増税内容なの?


2020年1月1日からスタートした税制改正では、所得税関連の改正がありました。比較的大きな変化です。具体的には次の通り。

(1)基礎控除の増額

基礎控除とは、会社からの給料や、自営業やフリーランス、年金受給者など収入の種類にかかわらず所得控除できる枠のこと。税負担を減らすことができます。
この枠が従来の38万円から48万円に増額されることで、会社員や公務員以外の人たちが特に恩恵を受け、税負担が軽減されます。

ただし年間の所得(いわゆる年収から各種控除や経費を差し引いた金額)が2,400万円を超えると基礎控除の額が段階的に減り、年間所得が2,500万円を超えると基礎控除額が0円になります。超高所得世帯以外にはメリットがあると言えるでしょう。

(2)給与所得控除の減額

給与所得控除とは、会社員や公務員など働いて給料を得ている人たちのみ利用できる控除枠です。サラリーマンの経費とも呼ばれる控除で、自営業、フリーランスの方には無関係の控除です。

給与所得控除が10万円減る代わりに、(1)で説明した基礎控除が10万円増えることになります。この変更だけを考えると、自営業者、フリーランスは基礎控除が10万円増えるので得をし、会社員や公務員などの給与所得者は変化しないことになります。

(3)給与所得控除の上限変更

給与所得控除は年収850万円以上の人を対象に少なくなります。控除が減るということは、税金が増えることを意味しますので、税負担が増えます。

年収850万円以上の人の場合は給与所得控除の上限が195万円となります。
年収1,000万円を例にすると、給与所得控除が25万円減りますが、代わりに基礎控除が10万円増えるので差引すると15万円の控除減額。この例では財務省の計算で4万5千円の所得税増税となります。

 

数年後に気づけば高所得者以外も増税しているかも?

給与所得者は日本全体で約6,000万人、そのうち年収900万円以上の人は6%に該当し、約360万人が増税の対象となります。全体のうち割合の少ない高所得世帯を対象とした増税ですので、反対も言いづらいでしょうからスムーズに決定したと考えられます。

しかし、徐々に対象となる収入が下がってきているので、数年後には、もう一段、さらにもう一段と気が付けばほとんどの年収で増税が行われる可能性もあります。

増税に対抗する手段はないのでしょうか?次回は増税に備える手法をお届けしようと思います。


著者プロフィール

高橋成壽

慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、金融系のキャリアを経て2007年にFP事務所を設立。
超富裕層向けの資産保全サービスを提供する寿FPコンサルティング、富裕層向けの資産運用サービスを提供する寿アセットマネジメント、現役世代を応援するライフデザインセンターを経営。無料のライフプラン相談サイト「ライフプランの窓口」、無料のマイホーム相談サービス「住もうよ!マイホーム」、保険見直しサービスの「保険チョイス」を運営している。

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