【新連載】やっぱり老後には2000万以上必要⁉︎【FP王子の知っトクお金の秘密】

2019.12.04 / 連載

年金問題に消費増税。膨らみ続ける金融不安や悩みなど〝お金のアレコレ〟に人気ファイナンシャルプランナー高橋成壽が斬りこむ!

世間を騒がせた「老後資金2000万円問題」とはなんだったのか?
やっぱり老後には2000万以上必要だ!【前編】

老後資金2,000万円問題。いろいろなメディアで目にした人も多いでしょう。
この情報源は2019年6月に政府関係の会議体である金融審議会「市場ワーキング・グループ」から発表された報告書「高齢社会における資産形成・管理」にあります。

どんなことが書いてあったのでしょうか。簡単に解説してみます。

いま、日本はどんな経済状況にあるのか


①長寿高齢化の進行
日本人の平均寿命が男性81歳、女性87歳となり、今後さらに平均寿命が伸びると考えられています。まさに「人生100年時代」の到来といえるでしょう。

長寿高齢化に伴い、老後生活の資金準備が必要です。しかしながら、高齢就労が難しく収入が減少したり、介護状態により支出が増えることが懸念される側面も。

認知症の患者が増加することで、財産管理ができなくなることも懸念されています。認知機能や判断力が衰えると、自分で預金を引き出すことも難しくなり、家族や第三者からの生活面での支援だけでなく、財産全般の管理や支援が必要です。

②老後家計の赤字化
一般的な高齢者夫婦の生活では、年金を中心に毎月約21万円ほどの収入があります。一方で、平均的な支出は約26万円前後で、計算すると毎月5万円の赤字。
年換算では60万円、10年で600万円、20年で1,200万円、30年で1,800万円、40年で2,400万円の生活費が不足してしまいます。

今の高齢者夫婦は平均的な預貯金額が2,500万円ほどあるため、今ある資産を取り崩しながら生活できますが、今の若い人たちは老後に向けて2,000万円以上の預貯金を貯める必要がありそうです。

③退職金の実施率と支給額の低下
1997年度には国内企業の9割で導入されていた退職金制度。しかし直近では8割に低下しています。

また、支給額は1997年度の3,200万円をピークに、以降減少して現在では2,000万円程度まで低下しています。実に3~4割の減額。今後も退職金制度の実施企業が減少したり、支給額の減少が見込まれています。


私たちの生活は表面上豊かで便利になったとしても、上記のような状況が重なることで金銭面では今後より苦しくなることが予想されます。

たとえば消費税が10%に上昇したばかりであるのに、より一層の増税がすでに議論されています。一説によると、日本の消費税率は25%が適正数値だと言われているそう……。税収だけで日本という国を運営することができるラインが25%と想定しているようです。
仮に消費税率が今以上に上がれば、私たちの生活が苦しくなることは想像に難くありません。100円の商品を買うのに125円払う時代が近い将来に待ち構えているかもしれないということです。

したがって、毎月や年間の収支がすでに今の生活でも赤字の人は、今後赤字の額が増えていくことになります。改めて家計を把握し生活スタイルや支出の傾向を改善する必要があるでしょう。

 

では今後私たちはどうしていったら老後の安定を目指せるのか。それを考えていきたいところですが、今回はここまで。
次回は、具体的な例をあげつつ私たちが今後やるべきことをお伝えしていきます。


著者プロフィール

高橋成壽

慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、金融系のキャリアを経て2007年にFP事務所を設立。
超富裕層向けの資産保全サービスを提供する寿FPコンサルティング、富裕層向けの資産運用サービスを提供する寿アセットマネジメント、現役世代を応援するライフデザインセンターを経営。無料のライフプラン相談サイト「ライフプランの窓口」、無料のマイホーム相談サービス「住もうよ!マイホーム」、保険見直しサービスの「保険チョイス」を運営している。

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