やっぱり老後には2000万以上必要⁉︎②【FP王子の知っトクお金の秘密】
2019.12.18 / 連載年金問題に消費増税。膨らみ続ける金融不安や悩みなど〝お金のアレコレ〟に人気ファイナンシャルプランナー高橋成壽が斬りこむ!
世間を騒がせた「老後資金2000万円問題」とはなんだったのか?
やっぱり老後には2000万以上必要だ!【後編】
老後資金2,000万円問題。いろいろなメディアで目にした人も多いでしょう。
この情報源は2019年6月に政府関係の会議体である金融審議会「市場ワーキング・グループ」から発表された報告書「高齢社会における資産形成・管理」にあります。
前編では現在の日本の経済状況を解説しました。
現在の状況から考えると今後、私たちの生活は表面上豊かで便利になったとしても、金銭面ではより苦しくなることが予想されます。毎月や年間の収支がすでに今の生活でも赤字の人は、今後赤字の額が増えていくことになり、改めて家計を把握し生活スタイルや支出の傾向を改善する必要があるのです。
今回は、具体的な例をあげつつ私たちが今後やるべきことをお伝えしていきます。
これから私たちがやるべきこと
20代から50代の世代を対象にした「老後の不安に関するアンケート」によると、一番にあがるのがやはり〝お金〟の問題。次いで健康、認知症、介護と続きます。
老後資金がいくら必要なのかはわからなくとも、今の生活水準が維持できなくなることへの不安や、認知症や要介護状態で生活自体が難しくなることを感じているようです。このような状況で、私たちは何をすればいいのでしょうか?
最も大切なことは「資産寿命」を延ばすこと。資産寿命とは、その名の通り資金が尽きるまでの期間のことです。
資産寿命を延ばすということは、生きている間に資金が無くならないようにする、つまり老後破綻しないために資金を残すこと、と考えるといいでしょう。
①現役時代に〝やるべき〟こと
- 若いうち・早い時期からの資産形成をスタートさせる
- 将来に向けて少額でも長期・積立・分散投資による資産形成を行う
- 信頼できるアドバイザーに相談する
- 顧客利益を重視した金融サービス提供者を選ぶ
以上4点を検討すると良いとされています。
具体的には、税制優遇制度である「積立NISA」や「iDeCo」などの資産形成支援制度を活用するとよさそうです。いずれの制度も老後資産形成を念頭に置かれた制度ですから、証券口座を通じた投資よりも利益が出た場合のメリットが大きくなります。
もちろん、利益が出ない場合もあり得ますので、自己責任での投資が大前提です。
②リタイヤ期前後に〝考えるべき〟こと
- 退職金がある場合、資金使途を明確にしてライフプランを再検討する
- 必要に応じて収支改善策を実施する(家計見直しなど)
- 中長期的な資産運用の継続と計画的な取り崩し
以上3つを推奨しています。
退職すると時間を持て余し、自分へのご褒美として高額の支出をする人がいます。しかし、お金は油断するとすぐになくなるもの。
まずは老後にいくら資金が必要か考え、退職金の中から絶対に減らすことのできない金額を把握するとよいでしょう。
投資については、多少なら元本が目減りしてもいいと思える金額だけを投資すれば、損失が発生しても許容できるはずです。
③高齢期に〝備えるべき〟こと
- 医療費や介護費用を見据えてマネープランを見直す
- 取引金融機関を減らすなど管理負担を減らす
- 自らの意思を明確にし、他者のサポートを受けながら元気なときと同様の生活ができるようにしておく
以上の3つを中心に準備しておくと安心して生活を続けることができそうです。
医療費については、収入に応じた高額療養費の区分を理解して各自の上限を把握しておくと安心です。多くの人は亡くなる前に入院しますから、医療費の準備を万全にして遺族やサポートする人の負担にならないよう配慮したいものです。
自分が要介護状態になるかどうか正確にわかる人などいません。しかし要介護認定者の数を鑑みれば、自分が要介護になる可能性が高いと考えて準備をしておくべきです。
公的介護保険も収入によって自己負担割合が異なります。いざというとき誰が・何が頼れるのか、よく考えておきましょう。
銀行、証券会社、クレジットカードなどは口座自体を減らすとよいでしょう。たくさんの口座があると、相続時の家族の負担が増えることになります。
意思能力の欠如も当然起こりえますから、家族やサポートする人のために家族信託、任意後見契約、遺言作成などを頭が健康なうちに行い、意思を残しておくといいでしょう。
著者プロフィール
高橋成壽
慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、金融系のキャリアを経て2007年にFP事務所を設立。
超富裕層向けの資産保全サービスを提供する寿FPコンサルティング、富裕層向けの資産運用サービスを提供する寿アセットマネジメント、現役世代を応援するライフデザインセンターを経営。無料のライフプラン相談サイト「ライフプランの窓口」、無料のマイホーム相談サービス「住もうよ!マイホーム」、保険見直しサービスの「保険チョイス」を運営している。
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