【特別編】SH@CKの新台講座「Pひぐらしのなく頃に〜廻〜」

2019.11.11 / 連載

今回は毎週月曜日にお届けしている導入直前の振り返りや運用を目的としたいつもの新台講座とは異なり、まだ販売がスタートされたばかりの機種について皆さまが導入判断の際に参考とする為の評価・内容を『特別編』という形でお届けする。

【特別編】大手法人機械対策課SH@CKの新台講座

2020年1月6日導入開始予定「Pひぐらしのなく頃に〜廻〜319ver.」(Daiichi)全国15,000台目標

 

概要:業界初の新システムを実現


今回「Pひぐらしのなく頃に〜廻〜」(以下略:ひぐらし廻)を特別内容でお届けする事となった最大の理由は『スペックの作り込み』にある!

まずは「ひぐらし廻」のスペックを紹介する前に、P機開発へ移行してまだそれほど時間は経っていないが、立て続けに内規が緩和され登場してきたさまざまな〝新システム〟について解説したい。
P機で新システム(新たな仕様)を搭載した機種は私個人が覚えていて思いつくだけでも以下のように多数がリリースされている。

  • 「Pハイスクールフリート」・・・ありそうでなかった【時短引き戻し時に小当りRUSH優遇の振分】
  • 「P番長2」「P逆襲のシャア」・・・2種時短回数変動【当選時状況により次回濃厚】
  • 「P番長2」「Pロードファラオ」・・・リミットと2種時短にて【セットループ式】
  • 「P烈火の炎3」・・・電サポ転落で小当りRUSH発動【小当りRUSH昇格フラグ】
  • 「P13日の金曜日」「P元祖源さん」・・・小当りRUSHと保留書き換えにて【2回ループ】
  • 「Pエヴァ14」・・・保留連時変動秒数変化と保留書き換えにて【一定時間小当りRUSH発動】
  • 「P新鬼武者ズババ」・・・2種時短回数の多数振分【継続率変動ST】

並べてみると「2種時短」を活用したシステムが多いのがわかるだろう。その中でも状況により回数を変動させて〝次回当選濃厚〟を実現したシステムは大きく分けて2つのタイプがある。

  1. 時短回数「外」=残保留での2種当選で、次回濃厚の時短回数発動やリミット到達まで継続
    該当機種:「P逆襲のシャア」「P番長2」
  2. 時短回数「内」=時短消化での2種当選で、次回濃厚の時短回数がリミット到達までループ
    該当機種:「P貞子VS伽倻子」

②の場合、時短内当選では次回濃厚な回転数が付与されてしまうため、当然ながらリミットを付けなければ半永久的に終了しない仕様となってしまう。これでは試験通過は困難だ。
そのため当該スペック機ではリミットが搭載され、恩恵(次回濃厚)獲得時には良くも悪くもリミット到達までの〝消化感〟が生まれる上、到達後には「時短0回=残保留のみ」の冷遇抽選となってしまう。

「ひぐらし廻」は簡単に言えば②の仕様である。しかしながら例に挙げた「P貞子VS伽倻子」と異なり、リミットを搭載しておらず常にユーザーのヒキが展開を左右する仕様となっているのだ!
そのスペックのからくりは次回濃厚の時短回数状態から時短を強制的に終了させる「転落小当りフラグ」を搭載していること。ちなみに転落後は残保留4回の抽選。

大まかなフローでは「確変転落式」と類似しているが、継続率65%制限時代の試験や設計数値へのアプローチとして〝苦肉の策〟で開発された経緯が少なからずある現行の確変転落タイプのスペックは「大当り確率」「転落確率」ともに分母が大きく、ロングST的なものが多い。
一方で「ひぐらし廻」が現行の転落式と大きく異なる点は、「1種2種」のため〝スピード感ある当選〟を繰り返すことだ。

この仕組みによって最上位RUSHの約80%ループを実現しているのである(残保留を含めた合算継続率約89%)。

話はそれるが、本機を含め昨今のスペック&システムの躍進状況を考えると、今後はこれまで存在しなかった〝大当りを経由しない〟時短や小当りRUSH、そして天井などの実現も近いのかもしれない!

シリーズ実績・コンテンツについて


次にコンテンツの解説を簡単に。シリーズ化され、今では業界内でも知名度の高い「ひぐらしのなく頃に」。2010年にパチスロ初代が登場、2013年に初のパチンコがリリースされた後、数々のシリーズ機が登場している。

キャラデザなどは萌え系のタッチでありながら、ストーリーは「ホラーサスペンス要素」があり、ギャップの強い同人PCゲームが原典だ。もちろんアニメ・コミック・家庭用ゲームなど多方面で展開されていて、異色な作品ながらも幅広い層から支持を得ているコンテンツ。
まぁ実際の原作PCゲームは完全R指定並のグロテスク描写が多いので、商業展開されているアニメなどはコアなファンから魅力半減との声も少なくないようだが、大衆向けには丁度良い程度になっていると言えるだろう。

そして直近のシリーズ実績として、2017年6月下旬にリリースされた「CRひぐらしのなく頃に〜叫〜」を同年の同確率帯同系コンテンツと比較してみよう。

機種名 導入週 初週アウト 初週稼働支持率 稼働貢献週
CRひぐらし叫 6月19日 43,210 280.95% 13週
CR緋弾のアリアⅡ 2月6日 41,950 269.95% 14週
CRまどマギ319 9月4日 42,660 291.19% 19週
CR戦国乙女花(4) 1月9日 45,210 275.00% 8週

初動・貢献週ともに一定の実績を残したのは知っての通り、それに加えて2019年5月頃からは市場貢献機種として再度見直し導入されていることからも根強い人気が見てとれる。

スペック


それでは本機の詳細スペックを確認してみよう。

《基本スペック》
タイプ 1種2種時短転落タイプ
通常時大当り確率 約1/319.7
右打ち大当り確率(図柄揃い含む) 約1/7.72
転落小当り確率 1/32
確変仕様 2種ショートST&転落タイプ
アタッカー賞球数 1個(V入賞口)・15個(通常)
カウント数 10C
初当り時獲得出玉(払出) ALL6R 900個
MAXラウンド時獲得出玉(払出) 約1,350個
MAXラウンド比率(特図2) 51.2%
時短回数 1回 or 5回 or 99回
初当り時RUSH突入期待度 約50%
最上位RUSH中の継続率 約89%
RUSH全状態平均継続率 約82.7%
時速出玉(右打ち時全状態平均) 約20,850個
下限算定値ベース B28

 

《大当り振分》(フロック性能により[ラウンド払出出玉≒実獲得数])
特図1 ラウンド数 出玉(払出) 時短回数 振分
6R 900個 1回 98%
6R 900個 99回 2%
特図2 ラウンド数 出玉(払出) 時短回数 振分
10R(V入賞※) 1,350個 5 or 99回 50%
4R(V入賞※) 450個 5 or 99回 50%
9R(図柄揃い) 1,350個 99回 100%(図柄揃い時)

※小当り経由からのV入賞1 R(払出0個)を含む

《時短回数別継続率》
時短回数+残保留 状態移行契機 継続率
1回+4回 初当り時の98% 50.02%
5回+4回 右打ち中残保留(時短外)当選 71.30%
99回+4回 右打ち中時短内or図柄揃い当選 99.99%
0回+4回 転落小当り後 42.58%

転落タイプとなる事から内部的には非常に複雑な仕様で、仕組みとその詳細は前述した通り。

ポイントとなるのは『初当り時一定出玉の獲得(900個)』『2種当選状況による恩恵変化』『最上位状態の継続率約89%』『時速出玉P機最高峰』『実獲得1,350個比率が50%以上』である。
この中で特に『時速出玉』はなかなか伝わり辛いかもしれない。だが実際のところRUSH仕様上、通常のST機が2種ST機に勝る事などほとんどなく、本機に時速で勝る機械は業界屈指の時速を有する「CRビッグドリーム」程度となる事を知っておくべきだろう!

演出


演出面において、まず触れるべきは筐体上部に刺さった「鉈」だ。ギミックとして可動する訳ではないが、アイキャッチ効果は強く。巨大化傾向にあるハード面での競争の中で〝良い落としどころ〟ではないだろうか。
パチンコの筐体はパチスロと異なり、下部パネルのような遠目からでも機種を識別できるアイキャッチ部分を持たせることが構造上また枠の互換性などの面から困難だ。一目で機種を識別できるアイキャッチが筐体にある点は非常に重要。

もちろん刺さった鉈だけではなく、シリーズおなじみの高速落下する(本来の意味での)「鉈役物」も存在。その他にも展開を発展させる液晶左上部の「切り裂き鉈役物」など、シンプルではあるものの特徴的なホラーサスペンス要素を強めるサプライズ効果抜群のギミックが搭載されている!
目立つギミックとしてステージにある「とおりゃんせユニット」は玉の軌道を楽しむ役割に加え、橋を通過すれば始動口入賞がほぼ確定となり、発生率次第ではユーザーのストレス軽減など良い効果をもたらすだろう。

液晶演出は「萌え」と「ホラー」が交差しつつも緩急をしっかり付けたシリーズ伝統の内容となっており、シリーズファン納得のクオリティ。そして新規のパチンコオリジナルキャラも加わり、新規楽曲も追加された点はコンテンツファンにも嬉しい作りとなっている!
後のメディアミックス展開も控えているとの事なので、世間での盛り上りから本機稼働への相乗効果を期待したいところだ!

ただ一つ残念な点は、「ひぐらし」というコンテンツの代名詞的な楽曲である『嘆きノ森』の搭載は確認が取れていない事である。「マクロスF」の『星間飛行』もそうだが、総合芸術とも言えるアニメコンテンツを採用する際に欠けているものがある事はファンとして少々残念に感じてしまう……。

ポイント


今回の解説を読んで、また機種の仕様自体などからもわかると思うが、本機はメーカーとして開発・販売に非常に力を入れている機種だと推察される。
販売台数をみてもDaiichiの直近販売状況からすれば自信の表れと言える15,000台。台数値引プランも自社に提示されたのは非常に強いものであった。さらにリユースで高確率スペックの販売が予定されている点でも、購入のリスクヘッジができるプランだろう。

長々と綴ってきたが、昨今のスペック進化が著しい中でも、特に目新しい仕様を搭載し時速にも期待の持てる機種であるということだ。購入判断の際に少しでも参考にして頂けると幸いだ!

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