岡野陽一のパチンコ人生訓 Vol.6「使っちゃいけないお金を使う」

2021.11.12 / 連載

「借金芸人」岡野陽一が送るPiDEA新連載!
パチンコを打っていく中で岡野陽一がたどり着いた人生の境地を、月替わりの金言とともに語る。


今月の金言

「使っちゃいけないお金を使う」

 

:岡野陽一

例えば、使っちゃいけないお金が5万円あったとして、最初の1万円はもう使っていい感覚になっちゃっていますよね。2万円まではまぁまぁ。3万円くらいからマジでやばいぞ。4万円の頃には使ったお金だけでも戻ってきてと懇願する。5万円で絶望。

そんなこともう、あるも何も今までの人生で使っちゃいけないお金を使うことの方が多かったです。ベタなところでいうと、家賃とか、中退してしまいましたけど、大学の奨学金とか、養成所の学費とか。

よくパチンコをやったことない人が「1万円使ってみたけど全然面白くなかったからもうやらない」という人がいるじゃないですか。違うんですよ。使っちゃいけないお金を使って初めてパチンコの本当の魅力を感じられるんですよ。

生きるために当てないといけないあの瞬間はすごい汁が出るというか、神様にお願いするのはあの時だけですね。それをめちゃめちゃ繰り返してきた結果、神様なんていないんだと思いましたし、人間の力でどうしようもできないことがあるんだと学びました。

 

もう終わりだ死ぬんじゃねーか

臨死体験は何度もしてきた

借りたお金で打ちに行ったこともあります。でも僕らってパチンコに行くしかないんです。5万円返しても所持金が0円になっちゃうからまた借りないといけない。お金がないから行くんですよ。

最後の1万円はもう、汗をたらして震えながら打っているし、1円もなくなって食べるものもなくなる。電車で行ったホールから歩いて帰ったり、時間だけが残る瞬間がある。そういう時にこれからどうしようという絶望が襲ってくるんです。もう終わりだ本当に死ぬんじゃねーかと変な汗が出る感覚。僕はあれを〝臨死体験〟だと思っています。

人生で絶望ってあると思うんですね、会社をクビになったり、恋人にふられたり、入試に落ちたり。でも僕はパチンコで何回も死んでいるので大丈夫なんです。収録でめちゃめちゃすべることもあるので、何回も死んでいるということになります(笑)。使っちゃいけないお金を使うことのメリットは、今になって思えば絶望に慣れることができるということでしょうか。

でもねぇ、絶望というか、もう終わりだと思うじゃないですか。逆に言うと、まだ終わってないという成功体験を何度もしているんです。「あれ、意外と使っちゃいけないお金って使っても死なないぞ?」「大丈夫だぞ?」と。それに気づいた時、僕の中でお金の価値がすごい下がったんです。勝手に使っちゃいけないと思っているだけで、使っていいお金だったんだなと。お金の価値が下の方になっちゃいました。

 

皆から好かれようと思って

生きる必要ないんじゃない?

お金に関してはめちゃめちゃルーズだし、幸いなことに僕の周りにはあまりいなかったのですが、それで正直ひいていく人はいます。これは僕が特殊な考えをしているのかもしれません。でも、お金が好きなやつ、飲み会がめっちゃ好きなやつ、ギャンブルがめっちゃ好きなやつ。いろんな個性がある。そんな中で合わないなら、なんなら離れていく人って離れていった方がいいと思うんです。

僕もね、若い頃は嫌われるのが本当に嫌いでした。とにかく人に嫌われる人間になったらおしまいだというのがあったんです。25歳くらいまでずっとそう思って生きてきて、人に気を使って、苦痛な時間を味わったりしました。パチンコに行きたいのが本当の自分なのに、みんなに合わせてスキーに行こうと言っちゃっている俺がいるみたいな。

その感じで行ってもやっぱ楽しくないんですよ。「本当はパチンコしていたらめちゃめちゃ出していたかもしれねー」、というとさすがに依存症かもしれないけどね(笑)。飲み会とかでも楽しんでない感じがでちゃって、結局うまくいかない。だったら、みんなから好かれようと思って生きる必要ってないんじゃないでしょうか?

人から嫌われないことはめちゃめちゃ簡単なんですよ。でもそれってすっげえ人生の無駄だし、嫌われないように振る舞っていても、結局嫌われる人には嫌われる。これも重要ですが、嫌われないことは好かれるということではありませんからね。

その点、パチンコ好きな人って、楽しそうにパチンコの話ばっかりするでしょ。だから僕はパチンコをやる人以外信用していなかったんですよ。まぁ人生の中でバランスを取る必要があると思いますけど、僕はそれでよかったというかね。パチンコ台でも相性があるように、そういうのは打たなきゃいいんです。

そういうことに気付いてからというもの、飲み会なんて何度も断っていますよ。とあるプロデューサーさんの飲みの誘いを60回くらい連続で断ったことがあります。どれも「そんなわけないだろ」という断り方でした。あの時めちゃめちゃ媚びを売っていればもっと仕事がもらえたかもと思いますが、そんなことに時間を使いたくないですよね。人生って意外と短いですから。

 

 

岡野陽一, 岡野陽一のパチンコ人生訓
2年以上

信じられないほど心に響きました笑、、言ってることはクズなのに、、
すごくいい文章だった、、

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