岡野陽一の今月の汁台-No.03

2023.11.13 / 連載

たくさんの大人が会議をした集大成。それがパチンコ

汁かどうかは分からないけど、リングの新しいやつ。汁というか怖過ぎるという話なんですよ。

初代「CRリング」(2011年)は、初打ちの時に一回転で当たって、それ以来好きでよく打っていたんですけど、ここ何作かのリングはあんまり触ってこなかったんです。

ただ貞ジョグが付いた台から、くずパチで打つようになって、それがめちゃめちゃ怖いんですね。今回のやつを見つけた時も、「大丈夫かな」となかなか手を出せないでいたんですよ。

お笑いもそうですけど、たくさんの大人が会議して番組などが出来上がります。とにかく最近のリングに思うのが、会議を想像しちゃうわけです。パチンコとして面白いのは大前提だけど、面白いよりも怖がらせようという意図が大きくなってやしないですかと。初代は大きな手の役物がバーンと落ちてくる役物だったのですが、新しいリングでは、右に行ったり左に行ったり、演出の残り10秒とか途中でもバーンと落ちてきたら当たり。「あー、この演出じゃ出てこねーか」と落胆した瞬間にバーン。これはいくらやってもなれないもんですね。友だちと打つ分にはめっちゃいいと思うけど、1人では打てない仕様というかね。


本機は初当たり確率約1/319.6の一種二種混合機。前作で採用されていた遊タイムは非搭載となった。「初当たりオール1500個でそこももちろんいいんですけど、初当たりの80%でRUSH突入。最近突入率が高い機種が人気ですが、それだけに止まらない汁ポイントがリングには結構ある」とは岡野陽一談。先バレならぬ、入賞時呪いの手落下のカスタムなどもあり、本当に開発チームが打ち手をビビらせてやろうという意気込みさえ感じる力作である。貞ジョグも含めギミックが多彩で、出玉を出す以外の、恐怖という汁をユーザーに出させている。 


で、この台にはまた違うベクトルの怖いがあるんです。右にバコンと貞子のフィギュアがついているので、右から左の台の様子を見ることができないんです。打ちながらなんとなく、「右の台はそろそろくるかもな」と予想できるけど、左側でバーンすると、これはもう台を殴るのとまったく同じ音と衝撃なんです。左の方が正しくビビってくれる人ならまだいいですけど、ボタンプッシュをまったく押さない人っているじゃないですか。スペックはいいんだけどなと思いつつ、そういう人だった時のパターンに怯えながら打ち続けている次第でございます。

僕もその日暮らしに見える生き方をしていますが、ちゃんと会議や打ち合わせくらいはします。よく指示があるのは「それ絶対面白いんで、やっちゃってください」系のやつ。例えば、僕だったら「金貸してください」みたいなことを言ってくれっていう指示ですね。僕は別に面白いと思わないんだけど、ディレクターの方が「演出をつけて盛り上げるんでガンガンいっちゃってくださいよ〜」と言うのでいざ本番でいうとめっちゃスベっちゃったり。もちろん、逆に編集に助けられることもあるので、それは別にいいんです。

ただ一方で、世の中には期日に間に合わせるために、そこまで時間をかけずに生み出されたものもきっとあるはずです。かくいう僕も10月に、「岡野博覧会」という単独ライブをやったのですが、その時がそういうパターンでしたね。ネタ出しの期日が迫ってきて、一生懸命考えるんですけど、なかなか演出が思い浮かばなかったりして、でも期日があるから発表はしないといけない。そういう意味では僕の単独ライブは、間に合わせるためのパチンコだったのかもしれません。

でもですね、SMAPの名曲「夜空ノムコウ」を作詞したスガシカオさんなんか、わずか20分で詩を書き上げたと言いますし、結局は結果論。今世に出ているものは、そういう酸いも甘いもが混ぜ合わさった集大成なんですな。新台が出るとみなさんすぐクソ台クソ台言いますけど、思ったよりいっぱいの大人が長い時間をかけて世に生み出されているわけです。

それを考えると、スマホで競馬の予想をしながら打つのもちょっと控えようかなと思ったりもするのですが、まぁ競馬は競馬で楽しいのでやめられない。

僕は普段大穴でも硬めでもなく、中穴くらいが好きです。単勝の倍率でいえば10倍〜30倍くらい。いろんな買い方試してきたけど、中穴を好む人(※自分のこと)って一番借金ありそうですよね。大穴ばっかりいく人って体力(資金)があるし、余裕があってやってりじゃないですか。芸能人の大型配当のニュースとかをたまに見かけますが、そういうことだと思うんです。鈴木もぐらなんかとも一緒に予想するんですけど、アイツも全然取ったのを見たことないですね。僕と同じで中途半端な癖に強欲で数十万止まり。いざという時に自分を信じられなくて、大きく張れなくてどうしようもない。自分の買い方を改めて見てみると、「まぁ勝てねえわな」と思ってしまいますね(笑)。 

何日か前の話ですが、パンサーの尾形さんと現場が一緒になった時に僕が予想をしていると、「久しぶりに俺も買ってみようかな」といって調べ出したんですよ。あるレースでスピードパンサーという馬が出る。しかも調教師が同性の尾形という方。「これ絶対買おう」と言っているので、見てみたらもう終わったレースで2着でした。しかも、1着・3着には馬番9と3(持ちネタのサンキュー)がきてたんですよ。「これ知ってたら絶対買ってたわー」と言うので、まぁ倍率だけみてみましょうかと調べたらスピードパンサーは単勝で280倍の馬。9と3絡みの3連単で8351.2倍。すごいロケもたくさんして健康的に日焼けしているあの尾形さんの顔が真っ青になっていました。「うわマジかよ」って落ち込んだ瞬間に出番ですとなりフルスロットルで出ていった尾形さんを僕は尊敬してしまいました。

岡野陽一, リング呪いの7日間3