岡野陽一のパチンコ人生訓 Vol.4「お金は賭けるためにある紙」

2021.09.20 / 連載

「借金芸人」岡野陽一が送るPiDEA新連載!
パチンコを打っていく中で岡野陽一がたどり着いた人生の境地を、月替わりの金言とともに語る。


今月の金言

「お金は賭けるためにある紙」

 

:岡野陽一

私がパチンコを好きな理由は、「抽選が受けられるから」でございます。抽選を受けることが大好きなんです。だって皆さん、毎日寝て起きて仕事に行ったりするだけでは、意外と抽選って受けられないものじゃないですか。

受験の結果発表。あれも抽選ですよ。テスト受けてから発表までの期間、ずっと不安かもしれませんが、その中に楽しさを感じませんか? 他にも仕事でプレゼンとかを任されて、その結果でボーナスの額が変わるとか。これも言ってしまえば抽選なわけです。

あとは恋愛の告白。「明日返事を聞かせて」と伝えて待つ時間など、人によっては「振られたらどうしよう」と悪い方に考えてしまって怖いかもしれませんが、これも抽選です。

お笑いでもそうですね。賞レースの決勝はめちゃくちゃ楽しいです。名前を呼ばれる瞬間は誰よりも喜んでいる自負があります。普段ネタを作ってたり、ライブがウケるのも楽しいんですけども、それはまたちょっと違いますよね。

そうして抽選を楽しんでいるうちに、徐々に当たり外れなんてどうでもよくなって、本質がずれていき、「どっちだろう?」とひりひりする時間を軸にして生きるようになってしまった人間、それが私でございます。

 

パチンコで負けた人を 見た時に喜びはありますか?

もちろん、ギャンブルをやらなくて済んでいる方に無理にこの楽しみを理解して欲しいとは思いません。そういう方々は、日常生活の中で、うまいこと伸るか反るかのドキドキを味わえているんだと思っております。

やっていない方が偉いのはもちろんなのですが、もし人生にひりつきがなくて、死んだような顔で毎日生きていらっしゃる方には「やった方がいいよ」というかもしれません。

だって楽しさが増えますから。例えば今朝馬券を買っていれば、この連載の仕事をしている間にも抽選が受けられて楽しさが増えます。何もないより、楽しさが増えた方がいいじゃないですか。

逆があるならいいですけどね。でも、パチンコで負けた人を見て「自分はやってなくてよかった!」と喜ぶなんてことがありますか? 楽しさが増えますか? そんなことは普通はないかと思う次第でございます。

 

賭けるものとして考えると 実はお金が一番ライト

しかしギャンブルには難点がございます。対価としてお金が減っていくこと。まあですが、これに関しましては、私は興奮して脳から出る汁、あの汁を買ったと思っていますのでいいんです。汁を出すために汁代を払うのは普通じゃないですか。バンジージャンプをする時にはバンジー代を払うのと同じことでございます。

それに、実際、失うものとしてお金が一番ライトなものだと私は思っております。私にとってはお金というのは極論減っても増えてもどちらでもいいんです。一番軽い罰でございます。

逆に日常生活の中でひりつきを得ようとすると、スピードを出してバイクで峠を攻めたり、犯罪すれすれの事業を立ち上げたり、薬物に手を出したりすると、お金以外の何か、例えば健康とか友人関係を失うわけじゃないですか? そんな色々ある「賭ける」ものとして一番ライトなのがお金なんです。あれはただの紙ですから。なくなったらまた自分で作ればいいんです。金という一番いらないものを賭けることで済んでいるのが一番いいんです。むしろお金というのはギャンブルをするために作られた紙と言ってもいいほどです。

……これだけ借金をしている身でこう言うのもなんですが。

人間はどこかでバランスを取ろうとする生き物なのではないかと思うのです。刺激のない日常を送っていると、刺激を求めて、激しいことや怖いことを求めてしまう。

YouTubeとかでもいますよね。高いところに登って自撮りをするとか。ああいう自分の身を賭けて危険なことをする人はきっと「汁」に飢えているんです。だからこそ、そういった人たちの命を救えるのが実はパチンコなんじゃないかと。

私にも実際、パチンコで助かっているという側面がございます。例えば、ロシアンルーレットってあるじゃないですか。あんなの危ないじゃないですか、私は絶対やりたくないですよ。でも、もしかしたら、パチンコをやっていなかったら、ロシアに行ってやらせてくださいってお願いしていたかもしれません。今だとパチンコホールさまで日頃から汁を出させていただいているので絶対にないですが、もしかしたら1/3でクマが出てくる家に住んでいたかもしれません。

「パチンコに使うお金で別のことをやれよ」と色々な方に言われることがありますが、そういうことではないんですよ。一番、お金が後腐れがないんです。金がかかることで楽しむくらいがちょうどいいのです。私だけでなくさまざまな方々が、お金で済んで助かっているんです。 

 

岡野陽一のパチンコ人生訓