岡野陽一のパチンコ人生訓 Vol.3「一回、お伺いを立ててみる」
2021.08.06 / 連載「借金芸人」岡野陽一が送るPiDEA新連載!
パチンコを打っていく中で岡野陽一がたどり着いた人生の境地を、月替わりの金言とともに語る。
今月の金言
「一回、お伺いを立ててみる」
談:岡野陽一
おかげさまで、今私はクズ芸人としてメディアに色々と出させていただいておりますが、「クズ」というキャラ一本でずっとやっていける、といううまい話はないんじゃないかと思っております。「クズ」の撤去って多分早いんですよ、だから他の路線も探しているのですが、やっぱりなかなか難しいですよね。
昔からやらなきゃいけないことが、どうしてもできない。昔工場で週5日働いていたことがあるのですが、7のつく日などがあるとどうしてもパチンコを優先させてしまいました。それでクビになるんならそれはそれでいいや、と。自分の中で優先順位ができてしまっていて、一番上にギャンブルが来ていた。
当時付き合っていた彼女よりもなんなら上でございました。その彼女の誕生日が7のつく日だったんですけども、彼女を問い詰めましたよ。「本当にその日が誕生日なんですか? 親の言うことを鵜呑みにしていないですか? そもそも、その日が誕生日だと言う証拠があるのか? あるなら出してみてほしい」と。今思えばとんでもない屁理屈ですが……。
「設定6」を捨てたあの日 お笑いが1番になった
今でこそ、「お笑い」と「ギャンブル」、どっちが上なんだと聞かれたら、もちろんお笑い的に言えば「ギャンブル」と答えるべきなのですが、本当のところをいうと「お笑い」を優先するようになっております。
養成所時代、朝一で設定6の台をつかんだ時がございました。まだ台に札が刺さっていたような時代のことです。ですがその日は昼から養成所で「ネタ見せ」があったんです。今までの私でしたらネタ見せを休んで台に向き合っていたのですが、その日は設定6を捨てました。その時、「俺、お笑いをやってるんだ」と実感できました。自分に感動しました。その日から、「お笑い」が優先順位の1位になったんだと思います。
チャンスがあれば聞いてみる
いや、言い過ぎたかもしれません。そもそも自分の中の「優先順位」って、かっちりと決まっているものではないと思います。その時一番したいことをする。それがその日はたまたま「お笑い」でした。 別の日は別の楽しいことが1位になってしまうことがあるわけです。例えば、今日も午前中は「ウルトラマンタロウ2」を打たせていただいておりました。で、連チャンが終わって、この連載のために帰宅したのでございますが、もし連チャンが続いていたらどうだったでしょう。
もし連チャンが続いていたら……、「今日の打ち合わせ、延期とかできないでしょうか?」とお電話をしていたかもしれません。いや! もちろん、すべてにおいてそうするわけじゃないですよ。ただ、こういう趣旨の連載ですから、こういう理由だと話せば分かってくれるんじゃないかと思った次第でございます。
世の中には自分の中の優先順位と社会の優先順位があります。それがぶつかり合う局面もあります。そうなった場合、1回自分の中で考えるんです。「仕事だから絶対に休んじゃダメ」とか「ネタ見せだから行かないといけない」とか「誕生日だからデートしないといけない」とか、そういうふうにガチガチに考えるのを、過剰に自分の中だけでビビるのを1回やめるんです。
そして、一度お伺いを立ててみることが大事だと思っております。「いま連チャンが続いておりまして、今回の打ち合わせはそういう理由でお休みしてしまいたいと思うのですが、どうでしょうか? いやー、ダメですかね? さすがにダメですよね? なんなら、あとで1万円お送りしますが……」と。もちろん、本当にダメな時はダメと言ってくださいますので、その時は台から立ち上がります。でも、世の中には優しい人も意外といるものです。分かったよ、と言われることもあるんです。チャンスがあることは聞いてみる、というのが大事だと思っております。
自分のちょうどいいルールで生きていく
私は、人間はみんな間違えている、間違いの人だと思っております。もちろん、私自身も含めてそうです。みんな間違えていて、好き勝手なルールの中で生きているんです。
全員間違えているからこそ、「あの時あの人はこう言っていたからこうしたほうがいいだろう」とか「世の中はこういうもの」などというように、ラインを自分で決めすぎるとよくないと思います。自分でちょうどいいルールを作って生きていくのがベストなんじゃないかと。
ただ、1個だけルールがあるとしたら、関わっている皆様にご迷惑をかけちゃいけないということ。まあ、ひょっとしたら、私の迷惑のラインはちょっと低すぎるという可能性は捨てきれませんが……。
