「競争はプラスになることはない。無駄な戦はするな。無駄出しはするな。今いるお客を逃すな」と檄が飛ぶ。
効率重視の一環で間接部門の余剰人員の見直しも。サミーに倣って肩たたきが始まるのではないかと社内では戦々恐々の日々が続く。
さらにモチベーションの一つである給料まで手を付けるのではないか、との噂も広がる。
「10年20年前は釘技術の差で業績も変わったが、今はそれもない。イベントが禁止になってカリスマ店長もみんなこけた」
将来に向けての展望もないままに、社員の士気が低下することばかりが打ち出されるが、そんなことは社内ではおくびにも出せないので、空元気感だけが漂っている。
何もできない時代。
年金支給日の偶数月の稼働がコロナ前に比べて伸びない。15日以降1~2週間は1パチの稼働が上がるのに、高齢者の戻りが芳しくない。
高齢者のワクチン接種率は順調に進んでいる。NHK調べでは、7月半ばの時点で1回目接種は全国平均で75.75%、2回接種は45.66%となっている。
7月末から8月にかけて2回目接種も75%を超えるものと思われる。
今はワクチン接種完了でこれまで戻って来なかった高齢者が再び来店してくれることを期待するしかない。
業界の“気”が悪い話はまだ続く。
都内の繁華街ホールは客の戻りがコロナ前の6割に留まっている。戻りが全国平均よりも低調だ。理由はサラリーマン客にあった。
「サラリーマンが来なくなって、粗利が減って体力も消耗している。本部長でさえ設定の入れ方が分からなくなっている。6号機は今までのやり方が通用しない。設定を入れても吹かないから」(業界事情通)
では、サラリーマン客を戻すにはどうすればいいのか?
「サラリーマン向けには1~2時間で勝負がつくような機械を作らなければならない。サラリーマンは何時間も粘れない。短時間勝負が生き残る道。業界人は機械のルールには精通しているが、一般人が望んでいることとの乖離が凄い。長時間打てる人の数が今の遊技人口。1時間遊んでくれる人をいかに増やすか。粘りと頑張りがパチンコだったがそんな時代ではない」(同)
警察の行政指導により、パチンコは遊技であるから長い時間遊べる遊技機作りに業界は舵を切った。短時間勝負はギャンブル性が高いからダメとなった。
風営法でパチンコを縛るには限界がある。
やはりパチンコ業法で出直せるぐらいの機械作りも求められる。
