パチンコ業界を反面教師にするビール業界

2021.07.20 / コラム
第1回目の緊急事態宣言下では、休業要請に応じずに営業したパチンコ店がメディアの集中砲火を浴び、世間からもバッシングを受けた。

この反省を踏まえ、全国遊技場青年部会がホールの換気の実証実験を行い、監修した愛知医科大学の三鴨廣繁教授からもホールの換気能力は「新型コロナウイルス対策に極めて有用であり、素晴らしい換気システム。喫煙対策を真摯に業界を挙げて取り組んだ成果が、換気実証実験に表れている。密閉対策は換気。密閉対策はほぼ完璧」と太鼓判を押した。

緊急事態宣言も回を重ねるごとに、バッシングの対象はクラスターが発生しないパチンコ店から、酒を飲んで声が大きくなり、飛沫感染の可能性が高い居酒屋へ矛先が変わった。

感染源とされる酒を提供する飲食店には、宣言下では重ねて休業要請や時短営業、さらには酒の販売禁止などが求められる。死活問題の店にすれば政府の要請を無視して酒を提供して営業を続ける。

これを何とか阻止したい西村経済再生担当大臣は、金融機関からの圧力をかけたり、酒の卸会社に対して取引しないように要請していたが、メディア・世間から大顰蹙を買い、すぐに撤回。謝罪に追い込まれた。

これがパチンコ店だったら世間は逆に西村大臣を応援していたかも知れない、とふと思った。

いずれにしても、日本の居酒屋文化が窮地に立たされている。

この問題に危機感を感じているのがほかならぬビール業界だったりする。特に飲食店に強いビールメーカーの危機感は相当なものだ。

「ビールメーカー各社は居酒屋などが時短営業などを受けていることで、売り上げが相当下がっています。外飲みの習慣がなくなり、家飲み文化が定着することを恐れています。それでなくても、最近の新入社員は会社の飲み会を嫌がる傾向があります。去年、今年と大学生は新入生歓迎コンパで飲む機会も逸失しています。外飲み文化が衰退することはビール業界には大打撃です」(飲食業界コンサル)

そんなビール業界が反面教師としているのがパチンコ業界だ。

最盛期には3000万人だった遊技人口は今や800万人まで減少している。

その原因を調べた。

昔は高校生が遊びまわっていた時代もあったが、入場制限が厳格化された結果、18歳未満を入場させるとホールは営業許可取り消しになる。パチンコ業界は警察の行政指導に従うしかなかったが、「パチンコ業界は若者に慣れ親しんでもらう努力をしなかった。だからパチンコをやらない若者が増えた」と断言する。

パチンコ業界がやった努力はギャンブル性を高め、売り上げを上げることだった。向かってはいけない方向に業界はアクセルを踏み込んだ。

その結果どうなったかと言うと「結婚する前にパチンコを覚えない限り、結婚後にパチンコを覚えることは稀有」と続ける。

おカネがかかるパチンコは妻帯者ではできなくなり、小遣いが自由に使える独身者と高齢者に支えられている。

パチンコは18歳になったらできるのに、業界が敷居を高くしてしまった結果が800万人と言う遊技人口である。



で、ビールメーカーの中には、キリンが外飲みの気分を家でも味わってもらうように、会員制生ビールサービスを開始している。専用サーバーをレンタルで貸し出し、月2回ビールが届く。

危機に対しては臨機応変にすぐに行動に移す。パチンコ業界が学びたいところである。



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