この日を境に前日に比べ1.5倍近くマスクが売れ始める。販売数は増加の一途を辿り、1月31日には1月24日の4倍の販売数となる。
奈良県で新型コロナの国内初感染が確認された1月28日から、兵庫、大阪を中心に店頭からマスクが消え始め、品薄地域は一気に全国に拡大した。
その頃、ネットでは1箱50枚入りの「医療用マスク」は、1980円の開始価格が1万7000円で落札された。ここからマスクの高額転売が始まる。
2月、3月は店頭にマスクの在庫はなく、1枚のマスクをケバ立つまで使いまくり、急場をしのいだ。
ようやくマスクが店頭に出回るようになったのは4月に入ってから。
写真が撮影されたのは4月14日で、大阪・ナンバのドラッグストアーでは50枚入りが3980円で販売されていた。

1万円以上で転売されていたことを思うと3980円は十分安く感じる。思わず1箱買い求めた。
同時に企業からの大量注文も受け入れるようになり、マスク不足も解消の方向へ向かった。
この頃、ホールが50枚入りのマスクを2000円の仕入れ値で大量注文した。景品として提供するためだ。ホールは400円乗せて2400円の値段で景品交換した。
これがマスク不足真っ只中の2月、3月なら飛ぶように売れただろう。パチンコ客以外の一般客も噂を聞きつけてマスク欲しさにホールへ来ただろうが、タイミングが少し遅かった。
景品に置いて当初はポツポツと出たが、ホールが期待したほどマスクと交換する客はいなかった。
で、現在デッドストックとして220箱がバックヤードに眠っている。

年末のアメ横では50枚入りが200円で投げ売りされているような時代に、さすがに2400円では交換する客はいない。
市場価格に合わせて安売りも考えたが、仕入れ値を割って市場価格に合わせて交換していたら、所轄から何を言われるか分からないので、怖くて安売りも憚られる。
そこで、従業員に配って処分しようと思ったが、ノンブランドで99%カットの表示もないマスクを欲しが者もいなかった。
「どうせ使うのならちゃんとしたマスクを付けたい」というのが従業員の本音だった。
「埃を吸うことになる大掃除の時にでもこのマスクを使うしかない」と責任者はあきらめ顔だ。
最近はマスクの2枚重ねが効果があると言われているが、ちゃんとしたマスクの上に汚れカバー用として使いますか?