税収の財源確保のためにもパチンコ業界は潰せない

2021.06.14 / コラム
コロナ禍で政府は困窮する企業や個人に給付金をばら撒いているが、支持率が下がる一方の菅政権は5月27日、政府による特例の貸し付けをこれ以上借りられなくなった人らを対象に、3カ月間で最大30万円を7月以降、給付する支援策を表明した。

新たな支援金は単身世帯で月額6万円、2人世帯で同8万円、3人以上世帯で同10万円とし、7月以降の3カ月間、給付する。

対象者は月収が基準額(東京都23区内では単身世帯で13万8千円、2人世帯で19万4千円、3人世帯で24万1千円)以下、預貯金額がこの基準額の6倍以下かつ100万円以下で、ハローワークで求職中などといった条件も満たす必要がある。

誰もが対象でないことは分かる。

いずれにしても、給付金は税金である。米櫃が空になれば、税収を上げることを財務省は迫られる。

税収を上げるには、コロナが収束した後で景気を回復させることが先決となる。景気回復策として時限立法的に消費税を下げることも一案だが、麻生財務大臣は絶対に首を縦に振らない。

新たな財源のたびに俎上に載るのがパチンコ業界だが、大手証券会社の関係者は別な見方で注目している。

「パチンコ業界は依存症対策も迫られているので、裏腹になりますが、業界を“育成”して税金を取るという考え方もあります。コロナ禍でもJRAはネット投票が好調でコロナ前と比べても103.5%アップです。公営競技はこれからネット投票に力を入れていきます。売り上げの25%は公共事業などに充てられるメリットもあるので、売り上げは上がった方がいい。パチンコだって潰すよりも規制緩和して景気良くしないといけない。パチンコから税金を取るなら縮小させてはいけない、という考え方です」

反面教師になっているのがサラ金業界だ。

政府はあいまいだったグレーゾーン金利を是正・撤廃するつもりだった。誤算だったのは最高裁がグレーゾーン金利で払い過ぎた金利を過去にさかのぼって返還請求できる「過払い金」判決を出してしまったこと。これによってサラ金大手の武富士が倒産に追い込まれ、残った大手サラ金は、メガバンクの傘下に入った。

「やり過ぎて業界を縮小させたのでは元も子もない。それよりも業界が底を打った時に、これ以上業界が縮小しないように何らかの仕組みを作るのではないかと思われます。それは利権や税金でバイアスがかかった時です」

新たな財源としてパチンコ税の話もこれまでに何度か出てきているが、取りやすくなる仕組みづくりなのでパチンコ税とはニュアンスが違う。

仕組みでいえばキャッシュレス化だ。これによっておカネの流れは丸裸になる。

ま、業界が警察庁の管理下に置かれている現状で、業界を“育成”することはまず考えられない。

これが経産省主導なら産業を規制緩和をしながら育成して、業界から税収を上げる発想になる。











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