パチンコのテレビCMは脳裏に焼き付ける意味がある

2021.06.11 / コラム
「パチンコは一部の人がやる遊びになっているので、一般の人の生活には入ってきていない。今の放送作家はパチンコをやらない。昔は放送作家も皆やっていたから、自分たちが好きなものでパチンコも取り上げていた」(在京キーテレビ局関係者)

パチンコ番組が夜のゴールデンタイムで流れていたのは90年代半ばのことだった。遊技人口3000万人時代。パチンコ業界が一番輝いていた時代だ。視聴率もそこそこ取れたのか、密着ドキュメントものが定期的に放送されていた。

「今、ドラマで公衆電話を使うシーンなんてないですよね。小学生なんか公衆電話の使い方も知らない。自分たちがやらないことは扱わない、ということですね」(同)

テレビからパチンコが消えたのは東日本大震災が契機だった。電力不足の時に電気を煌々と点けて営業していた一部のホールによって「パチンコ不要論」まで沸き起こり、業界は大バッシングを受けた。日工組はこの時からメーカーのテレビCM自粛を決定した。

「パチンコが人の目に触れないようにした自主規制を行ったことは判断ミスですね。テレビ局がCM欲しさに言っていると誤解されたくないのですが、人の目に触れないということは、人の脳裏からパチンコが消えていく、ということを意味します。人の脳裏に刻み込んでいくのがテレビCMの役目でもあります」(同)

人の脳裏に焼き付けると言う意味での成功事例がハズキルーペだ。無名のハズキルーペを全国区にすべく、集中的にテレビCMをガンガン流し続けて、拡大鏡のことを誰もがハズキルーペと認識するようになった。広告宣伝費は100億円もかけた、といわれているが、ハズキルーペの認知度が定着するとスパッと止めた。

日工組は自粛していたテレビCMを今年4月から解禁した。メーカー各社も業績を大きく落として、経費削減に努めてる中で、SANKYOが8月から納入する「PF機動戦士ガンダムユニコーン」のテレビCMを流している。

新台がホールに導入される8月の第1週あたりまで全国に流れる予定だ。



業界誌PiDEAの4月号の「令和版!新台テレビCM砲の衝撃」によると、SANKYOの担当者は「メインタイトルでの実施を模索していますが、具体的な出稿計画は未定です」と答えていた。この時点では本決まりではなかったことが伺える。

かつてのように1機種で何10万台も売れる時代ではない。販売台数との兼ね合いで費用対効果を考えるとテレビCMは尻込むところだ。しかし、ネットをやらないお年寄りにはパチンコの新台CMが流れることは、忘れていたパチンコを思い出す効果はある。

テレビ局の営業担当によると、SANKYOに次いで後2社ほどがテレビCMを検討している、という。

「空いてる時間帯の問い合わせもあります。今は全部空いていますけどね。CMを流すことでウチはリストラはやらないことを意思表示する狙いもあるようです」

いずれにしても、パチンコを脳裏に焼き付けるという意味では、1社よりも2社、2社よりも3社、と後に続くことがパチンコ業界を盛り上げることにもつながる。






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