ホール・流通・メーカーの3方良しにするために必要なこと

2021.06.07 / コラム
パチンコ筐体の巨大化は一向に収まる気配がない。

メーカーが付加価値という名目で機械代の値上げを図っているとしか思えない。客からも「邪魔なおもちゃ」と不評で、全日遊連も随分前にパチンコ筐体の大型化、重量化を是正するように日工組に申し入れをしているのに馬耳東風である。

去年12月のTwitterでこんなツイートを発見した。



そこには写真も添付され飾り部分を後付けで組み立てる作業が加わり、新台入れ替えに相当時間を取られるようになったことが分かる。

実際にこの機種の入替作業に携わったことのあるホール関係者に訊いてみた。

「初めて組み立てたので、1台目は部品を組み立てて取り付けるのに10分もかかりました。2台目からは手順も把握したんで5分ぐらいで組み立てられるようにはなりました。でも、40台のボックス導入だったので、とにかく大変面倒でした。飾りの組み立て作業がなければ、早く入替作業を済ませることができるのに、本当に余計な作業でした」

現場で入替作業に当たる人のことをメーカーはどのように考えているのか。考えているとしたらこんな装飾品はつけない。そもそも売れるメーカーは筐体の巨大化競争からは一線を引いている。

「上層部から『他のメーカーができてうちはできないのか』と言われれば、開発としてはできますと言うしかありません」(パチンコメーカ開発)と苦しい胸の内を明かす。

新台価格の高騰は抑えなければならないが、中古でも稼働が良くて元が取れるとなればホールは100万円出してでも買っていた歴史がある。メーカーもホールの足元を見ているので、値下げも考えていない。

となれば、せめて誰も得をしない筐体の巨大化だけは阻止しなければならない。

筐体の巨大化で今や1台が60キロの重量級である。昔の機械なら1人で運べたものが運ぶだけで2人ではなく慎重を期して3人で運んでいるホールもある。そこに付属品をプラモデルの様に組み立てる作業まで加わると、設置するだけで1.5倍の人件費が余分にかかっている、ということである。

技術革新で小型化軽量が世の中の流れである。

日本製紙クレシアは、「クリネックス」などのトイレットロール12ロールの生産を2021年3月31日で終了し、2021年4月1日よりすべてのトイレットロールを長尺化にシフトした。これを「長持ちロール」と呼び、嵩を減らし1.5倍コンパクト化した。

トイレットペーパーは空気を運んでいるとも言われていたが、コンパクト化で輸送に係るCO2排出量を従来品よりも約41%削減することができるようになった。

消費者・流通・メーカーの「三方良し」に地球へのやさしさをプラスして「四方良し」と評価されている。

筐体の巨大化がいかに世の中の流れと逆行しているかが分かる、というものだ。









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