4月号のある業界誌がキャッシュレス化を特集していたが、日報ではキャッシュレス化の第10弾である。
国がキャッシュレス化を急ぐ理由の一つには、インバウンド需要があった。訪日外国人で一番多い中国人は、日本のキャッシュレス化が進んでいない状況を不安視している割合が2割、という結果が出ており、無視できるものではなかった。コロナ禍で中断しているとはいえ、さらなるインバウンド需要を引き上げるためにもキャッシュレス化は急務であった。
また、紙幣や硬貨の製造コストを削減できることが挙げられている。
1円硬貨は3円、5円硬貨は7円の1枚当たりの製造コストがかかっている。1円は400億枚、5円は110億枚が流通しており、1円と5円を廃止するだけでも1750億円のコスト削減が図られる。
という前置きはさておき、パチンコ業界でキャッシュレス化が求められる理由は、おカネが一番動いている業界だからでもある。客単価も他の業界よりも高い。平均で2~3万円使う業界はそうそうない。
競馬などの公営ギャンブルもネット投票が進み、いち早くキャッシュレス化へ向かっている。
では、パチンコ業界でキャッシュレス化を推進するには、それなりのメリットが必要になる。
多額の現金が保管されている事務所や換金所を狙った強盗犯罪が抑止されるなどのありふれたものではなく、警察庁の肝いりで導入が始まったプリペイドカードの時のようなメリットがなければ、業界は動かない。
プリペイドカードの時の反対理由は声を大にして言うことはできなかったが、脱税問題だった。
しかし、コロナ禍でホールの淘汰は加速して、残るのは脱税とは無縁の優良ホールだけになれば、反対する理由もなくなる。
キャッシュレス化で売り上げがより明確になれば、国税にとっても万々歳である。
さらに、ユーザーはキャッシュレス化で銀行口座と紐づけすれば、年間所得も分かり、税金をかけることができる。
ちなみに、競馬は年間50万円以上の利益があれば税金がかかる。
ホールの売り上げが明確になるだけでなく、ユーザーの勝敗も分かれば、ユーザーから税金を取ることもできるようになる。
こうしたことを踏まえて、キャッシュレス化による第二のCR機のような特典を管理遊技機やコインレス遊技機に付加すれば、大きなメリットになる。
キャッシュレス対応機時代が訪れる日が来るかどうかは業界の努力次第だ。