コロナ禍でパチンコ客が競馬にシフトしたエントリーを2本書いている。
2020年12月30日付の「パチンコから競馬にシフトしたタクシードライバーたち」と2021年2月4日付の「また一人パチンコから競馬へ」がそれだ。
そのうち、タクシードライバー歴25年のAさん(55)のその後について続報が入った。
独身のAさんは休日、パチンコを打つのが楽しみで25年ほど続けていた。
昨年の緊急事態宣言の時は、マイホールを始めとして競合店も全部閉まっていたので、パチンコを打つことはできなかった。
ホールが営業を再開して何度か打ちに行ったが、「全く勝てない。遊ぶことさえできない」と渋クギに閉口した。Aさんの選択は勝てそうなホールを探すのではなく、「パチンコを打つことがアホらしくなった」とキッパリと足を洗ってしまった。
で、Aさんが始めたのがドライバー仲間の間で流行っている競馬だった。
今はネット会員になり家で結果を楽しんでいる。
「競馬はネット投票で家からできるので、何よりも体が休まる。パチンコは体も疲れるのでやる気も起こらなくなった」(Aさん)
ここぞというレースに次ぎ込んで80万円勝ってしまったのだ。
「パチンコで80万円なんか勝てることない。今まで、1万突っ込んで2万円でも戻ってくれば楽しかったが、パチンコは魅力的ではなくなった」(Aさん)
幸先よく勝ったことが、結果的には競馬に手を出して大やけどすることになる。
競馬のアプリは収支が出る。
Aさんは気が付けば145万円も負けていた。
負けを取り戻すために買わなくてもいいレースまで手を出し、さらに配当のいいレースに賭けた。
Aさんだけではない。競馬を始めたドライバー仲間も後悔している。
「パチンコはたまにやる程度で年間20~30万円の負けだったけど、競馬は短期間で50万円も負けてしまった。ネットは歯止めが聞かなくなる。にわかファンで馬券が当たるわけない。競馬はもうこりごり」とパチンコ以上に負けてしまったことを悔やむ。
地方競馬で年間最も注目され、1年を締めくくる唯一のG1レース「東京大賞典」の売り上げは前年比8.4%増の60億7445万円、と地方競馬の1レースとしての最高額を更新した。
地方競馬全国協会によると、地方自治体が主催する全国15の地方競馬の売り上げは2014年度以降に毎年2桁増が続き、昨年度は12月まで前年同月比31%増と増加ペースが一段と加速している。ネット経由での馬券購入やレース中継、競走馬データなど地方競馬へのアクセスが容易になったことが、Aさんたちのようななにわかファンを増やしている。
手軽に手を出せることは、ネット投票の闇とも言える。