出店意欲の強いホール企業は、遊技人口の少ない地方から、遊技人口の多い首都圏を目指す動きがあった。それがコロナ禍で一転することになる。ホールのデータベースである「ここパチ」によると、東京でもコロナ禍に見舞われた昨年は69店舗が閉店している。
この中にはマルハン、ダイナム、ピーアーク、やすだなどの大手・中堅ホール企業の店舗も含まれているが、共通しているのが300台以下の小型店舗の閉店が目立つ。
「メッセ武蔵境店がオープンしてからは競合するダイナムだって苦戦している。オープンして1年の900台クラスの大型店に対して、ダイナムは30年以上経つ300台クラスの小型店ですからね。玉を出して勝負する気はないように感じます。大山のやすだは40個交換が主流の昭和の終わりごろから等価でよく通った。1回の大当たりで2400~2500発の時代ですからすぐに1万円にはなった。お客さんもたくさんいて賑わっていたのに。閉店した2店舗はいずれも200台以下の小型店でしたから…」(地元ファン)
コロナ禍では小型店を支えていた高齢者がパチンコから離れて行ったことも閉店の要因の一つだろうが、建物の老朽化や機械の入れ替え費用を考えると、小型店への投資マインドも起こらない。
都内のホール関係者は独自に調査した結果、東京都下の300台未満の店舗のうち、「200店舗が閉店する」と試算している。
「駅前型で古い小型店舗はバタバタ閉まりますよ。昔は駅の乗降客数で出店したものですが、そんな数字も今は全く意味をなさない。それぐらい遊技人口は急速に減っています。多摩地区で勢いがあったビームが2店舗閉めたことも象徴的なことです。地方のホールは東京を目指して出店してきましたが、あまり成功しているところはない。品川も駅前のゴードンが閉店しましたが、山手線を移動するユーザーが動いていない。ということはどの店舗も出していないから動く魅力がなくなったんでしょう」と分析する。
地方のホールが危ないと言われていたが、それがコロナ禍で東京も安全地帯ではなくなってしまった。
静岡で15年ほどホールに勤務していた人が、閉店に伴い、経験を活かすために都内のホールでの再就職を目指した。
履歴書から面接に漕ぎつけたものの、不採用となった。人手不足の時代なら即採用になっていただろうが、ホールもよほどの人物ではない限り、採用しない状況になっている。