ボタンを押すとエサが出てくる装置をサルに与え、「ボタンを押すとエサが出てくる」とまず覚えさせる。
ところが、押すたびにエサが出てくるのが分かると、サルはこれに興味を示さなくなる。次にそのうちボタンを押しても、出る時と出ない時があるように設定すると、サルは一日中ボタンを押し続けるようになる。
そして、ボタンを押してもエサが全く出ないように設定しても、サルは必死にボタンを押し続ける、という実験だ。
この実験は賭け事に関する人間の心理にも当て嵌めることができる。遊技客はナゼ、パチンコするかといえば、サルの行動心理学からも分かるように勝つからというよりも、負けるからパチンコするとも言える。
「ボッタくり」「糞台」と陰口を叩きながらも止められないのは、負けるからまた行くわけだ。
ボタンを押しても全くエサが出ないのに、押し続けるレベルがパチンコ依存症とも言える。賭け事は勝つから面白いのではなく、負けるからのめり込むのだろう。
流行っている店ほど出すときは出し、取る時は取る、というメリハリに効いた営業をしている。
とあるホール企業が調査会社に依頼して「パチンコを辞めた理由」を分析してみた。
「勝てなくなった」という理由ばかりかと思っていたが、想定外だったのが「自信がなくなった」という回答だった。
つまり、勝てる自信を喪失させるぐらい負け続けた結果、パチンコから足を洗った、という回答には衝撃を受けた。
負け続けてもたまに勝つからパチンコを打つわけだが、このの辞め方は精神的ダメージが回復できなくて辞めてしまったわけだ。
負けたことがトラウマ化し、パチンコ店を見るとフラッシュバックしてしまうほど重症化していた。
サルはエサが出なくてもボタンを押し続けるが、そこがサルと人間の違いで、完全な依存症でなければ人間は負け続けるとさすがに辞めてしまう。シノギが激減してパチンコも打てなくなった反社の方々も少なくない。
コロナ禍で各社台所事情が厳しいのはよく分かる。
できる限りのコストカットを図りながら、粗利を確保しようとしているが、勝てない環境を是正しないことには、既存客も離れるばかり。新規もスリープユーザーを増やすことなど、夢のまた夢である。
追い打ちをかけるように第3回目となる緊急事態宣言が発令され1000平方メートル以上(500台以上)のホールには休業要請対象となった。東京はホールの規模に関係なく休業要請が出た。
緊急事態宣言下のホールは最大の試練を迎えようとしている。1回目で大遊協は休業要請に応じないホールを未然に防ぐために、特殊景品の配送を止めたが、今回はそこまで強硬手段に出ることもなさそうだ。
単店オーナーはこう読む。
「罰則規定もなく、補償もないとなると世論によってどう動くか分かりませんが、休業には至らないと思います」と前置きした後でさらにこう続ける。
「某県の理事長さんではないですが、生き残りをかけて皆さん我が道を進んでいくんではないでしょうか」
準大手ホール関係者の店舗は大型店、中型店が主体で休業要請に応じなければいけない店舗も多数抱える。
「ウチは大手がどう出るかで、それに右に倣えになるでしょう」と話す。
ちなみに、緊急事態宣言が発令された25日、当該地域の1000平方メートル以上の大型店はいずれも営業をしている。

日テレの「バンキシャ」では、大阪で休業要請が出ている千日前の大型店の朝の並びを流していた。