週刊誌記者がコロナ禍で仕事を失った人たちを取材した。
飲食店の契約社員だった都内在住のA君は、コロナで店が廃業に追い込まれた。実家住まいなので、家賃や食費の心配もなく、給料の大半をスロットに次ぎ込んでいた。
昨年の緊急事態宣言でホールが閉まっていたことがきっかけで、スロットを打つのを止めてしまった。
その代わりA君が始めたのがナンバーズ3で、1日200円ずつ買い始めた。自分の誕生日を買って8万円の配当があった。これを皮切りにさらに高額配当が見込めるナンバーズ4を始めた。
それで、今年2月に60万円をゲットすることができた。これで気が大きくなり、久しぶりにスロットを打ちに行った。
1万円ほど使ったところで、スロットを打つのがアホらしくなってきた。あんなに給料をスロットに次ぎ込んでいたことがアホらしく思えた。すると、急にやる気が失せてしまった。
キャバ嬢のB子さんは、時給3000円+歩合給で月額80万円は稼いでいた。キャバクラでクラスターが発生したこともあり、客足はパタリと途絶え、店は閉店。収入はゼロになった。
B子さんも出勤前は歌舞伎町でスロットを毎日のように打っていたが、仕事がなくなり、スロットを打つおカネがもったいなくなった。
常連客からプレゼントされた猫と一緒に遊んでいた方が幸せを感じるようになった。
夫婦共稼ぎのカップルは子供がいないこともあって、好きなことにおカネを使っていたが、夫婦ともにリストラされてしまった。
そこで無駄だと思われるリストを作成した。衣服にもおカネをかけていたが、真っ先に削減対象になった。
クルマも維持費がかかるので売却した。駐車場代だけでも月額1万6000円もかかっていた。クルマがあるから用もないのに遠くへ出かけておカネを使っていた。
足代わりに自転車を2台買った。健康にもいいし、路地裏で新たな発見があり、クルマでは気づかなかったことが多々あった。
旦那は月10回はパチンコを打っていたが、おカネがないので行けなくなったら、やる気もなくなった。
賑わっていた各ホールの1パチコーナーの客がいなくなっている。年金支給日の15日の稼働が、2月に比べて13%も落ち込んでいるホールがある。
コロナでお年寄りの依存症が治ってしまったきらいがある。
日本人のセックスレスのように、習慣がなくなると案外簡単に止めることができたりする。
パチンコとは関係ないが30歳のBさん(独身)もコロナでリストラされ、晩飯代わりに毎日のように通っていた居酒屋へ行けなくなった。その代わりに家飲みで自分で料理もするようになった。
すると、自分で料理することに目覚め、料理することが楽しくなった。外飲みでおカネをジャブジャブ使っていたことがアホらしくなった。
居酒屋は1000ベロから500ベロにしないと客が戻らないのではないかと危機感を持っている。
仕事を失った人たちは、無駄なおカネを使い過ぎていたことに気づいたわけだが、コロナが収束して景気が回復した時にどうなるかだ。
一度切れた習慣はなかなか戻らない。