あっさりボツになった猫パチ

2021.04.13 / コラム
アベノミクスに引っかけて「ネコノミクス」という言葉がある。今は空前の猫ブームと言われ猫関連の商品やサービスがもたらす経済効果は、2兆円という試算もあるほどだ。

ネコノミクスの火付け役は2007年に登場した和歌山・貴志川駅の「たま駅長」とも言われている。写真集や関連グッズ販売だけでなく、赤字路線で乗降客も少なかった駅を訪れる観光客によって地元に落とされるおカネは年間11億円余りで、町おこしにも貢献している。

猫ブームの象徴と言える「猫カフェ」は、2005年には4店舗しかなかったものが、保護猫を扱って里親を募集する形態まで含めると、現在は500店舗以上に急増している。

この猫カフェの発想から「猫パチ」を企画した女性スタッフがいる。

地方の300台クラスの店舗で、保護猫を20匹以上引き取って店内でお客さんと猫が戯れることができるホールを目指す。猫を抱きながらプレイするのも良し。猫カフェならおカネがかかるが、パチンコをしなくてもいいので猫好きの人には来店して欲しい。さらに、保護猫を引き取ることで地域の社会貢献にもつながる、という内容だった。

猫が疲れないように開店から夕方6時までの“出勤” を想定していた。

ところがこの企画はあっさり却下された。

その理由は「動物虐待で非難が殺到する!」。

猫で一番優れているのは聴覚だと言われている。

高い音だと、人間が一般的に聴こえる音の範囲は2万ヘルツまで、猫は10万ヘルツまで聴きくことができる。この能力によって、高音を出すネズミなどの獲物がどこで動いているのか、獲物までどれくらいの距離があるのかを、暗闇の中でも正確に判断することができる。

人間でも耐えられない騒音の中で猫が我慢できるはずもない。猫まっしぐらでホールから逃げ出す。

猫パチが実現したら当然話題にもなるが、動物愛護団体からはその何10倍も抗議が来ることは容易に想定できる。

猫パチ企画は実現することはないが、ホールでペットを飼っていたホールは過去には実際にあった。

福岡県のホールでは野生の生まれたばかりの子ザルを保護して、店内で放し飼いにしていた時期もあった。少し大きくなると敷地内に檻を作りそちらへ移した。「釘師サブやん」を目指して釘調整の芸を仕込む計画もあったが、実現には至らなかった。

大阪のホールでは豚を飼っているケースもあった。



ペットのいるホールは探せばまだまだあるかも知れない。保護猫を引き取るアイデアは良かったけど、惜しい企画ではある。






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