【岡野陽一編】パチンコ好き芸人の語る やっぱりパチンコはめっちゃ面白い!

2021.04.14 / コラム

パチンコには本当にお世話になっております。パチンコは親だと思っておりますので。

 

 

お笑い芸人、岡野陽一
R-1ぐらんぷり2019で決勝進出。
小学生にパチンコを教える「教育」というネタも話題に。

 

そしてそれ以上に、パチンコホールさんには社会のすべてが凝縮されて詰まっている、と私は思っております。

 

当たらないパチンコ台はない 岡野陽一のパチンコ人生訓

自分の朝イチの台が、まず「生まれ」ですよね。生まれによってやっぱり設定も違いますし……、でも、そこから台移動もできるわけですよ。選択肢はいろいろある。まずそこが1つ、人生と似ているなあと思います。

それから、パチンコってスタートチャッカーに入った玉だけが回るわけじゃないですか? 逆にいうとほとんどの玉は死んでいるんですよ、あれ。なんか、これを見てて、「ああ、こういう人がいっぱいいる上で、社会は回っているんだなあ」としみじみ思いますね。「いま落ちていった玉、僕はこれだなあ」とか(笑)。

今まで何千時間も打ってきているんで、玉の動きを見て意外といろいろ考えちゃうんですよね。限られた人しかスタートチャッカーにたどり着けないのは、芸能界とまったく同じです。

でも、絶対に当たらないパチンコ台って、1台も僕見たことがないんですよ。1日2000回転や3000回転ハマった台でも、次の日には当っていたりする。

これはどういうことかと言いますと、例えば、パチンコをやっていて、両隣の台がめっちゃ出ていたら嫌じゃないですか? もう自分の台は出ないんじゃないかと思うじゃないですか。隣の芝生が青く見えるというか。でも、これって関係ないんですよね、結局。私はもう横の台なんてまったく見ずに打ちます。自分の台を回せばいいんですから、要は。

芸人をやっていると似たようなシチュエーションがあったりするんです。自分の周囲の人や、後輩が売れていく。いや、芸人だけの話じゃないですよね、それぞれの仕事やプライベートで周囲の人が羨ましくなっちゃうことがあります。でも、人と比べてもしょうがない。自分の台を回すしかないんですよ。当たらないパチンコ台はないですからね。

 

パチンコで学べるのは「敗者のメンタリティ」

これはなかなか伝わりにくいことかもしれないんですけど、パチンコの一番いいところはメンタルをいい意味で「壊せる」ことだと思うんですよ。本当に、いい意味で捉えて欲しいんですけど(笑)。

パチンコをずっとやっていると、僕、「感情がなくなって」くると思うんですよね。いい意味でですよ!?  僕も最初はパチンコの勝ち負けに一喜一憂していました。でも毎日パチンコに通いたいなら、一喜一憂してたら体が持たないじゃないですか。だから徐々に、悲しまなくなってきたんですよ。

朝5時から並んで8万負けても、「大丈夫ですよ? 8万しか負けなかった。むしろ嬉しい」というメンタルに変わってきました。自分の脳の洗脳ですよね。

パチンコ・パチスロって理不尽じゃないですか? 朝イチから並んでも、自分よりいい台に座った人がいたり、設定のいい台に座れてもヒキがめっちゃ悪くて負けちゃったり。でも、その理不尽も受け入れられちゃうんですよ。なので、大人になってから僕ムカつくこととかないですからね。「売れない」ことに対してもまったくストレスはなかったです。

敗者がいかにメンタルを保って打ち続けられるか、そのメンタリティが学べるんですよ。 変な資格取るより、修学旅行で京都行くより、よっぽど勉強になると思います。

 

ジャグラーの光は北電子が作った、この世にない色

僕、ジャグラーが光っているのを人生で初めて見た時、めちゃめちゃ嬉しかったんですよ。「おいっ! おいーっ!」と声を出して興奮しました。見たことがない色の光じゃないですか? あの「光」ってこの世にない色なんですよ。多分北電子さんが作った色ですよね。

でも、これを毎日打っていくと慣れてくるわけじゃないですか。初めの頃は光るたびに喜んで、光らないとムカついていたのが、だんだん慣れて、最終的には光らなくて当たり前ってメンタルになってきますよ。

人生と同じで、あのランプは光らないものだとしてしまった方が生きやすいんですよ。でも同時に、光った時の感動を、我々は忘れてしまってもいるんじゃないか、そういうことも考えながら、日々回しています(笑)。

 

パチンコ好きの人ほど純粋な人たちはいない

「パチンコネタの食いつきは、良くなってきているんじゃないですか?」(編集部より質問)

いやいや! 悪いですよ!(笑) 当たり前じゃないですか!(笑)ちょっと楽観的に見過ぎですねぇ……?(笑)

もちろん、パチンコというのはネタとしては難しいです。広く受け入れられる時代というのはまだ先なんじゃないかなと思います。僕自身も、手応えがあるないという観点よりは、僕が好きだから伝えたい、という気持ちでやらせていただいています。

朝からパチンコ屋に並んでいる人たちって、一般的にはやばいという印象があるじゃないですか。でも僕は、あんな純粋な人はいないと思うんですよ。パチンコ好きな人って、愉快な人たちが多いですからね。「怖くないよっ!」と、そういうふうな印象を持たせられたらいいなあとは思いますね。

 

夜勤とパチンコ店のループ パチンコに命を救われた話

昔、大学時代、コンビニで夜勤のバイトをしていたんです。夜0時から朝7時まで。それはもう、パチンコ打つためのシフトですよね。で、たまにあるじゃないですか、昼にパチンコでめちゃくちゃ勝つ時! その時も二日連続で万枚出たんですよね。

で、パチンコ屋の閉店後23時、もうあと1時間で夜勤行かないといけないってなった時に、さすがに眠たくなって、だって夜勤とパチンコのループですからね。でも、万枚出たし明日も絶対勝つなと思ってたんで、急に友達に電話して夜勤を代わってもらったんですよ。お金はあるんで「1万円払う」ってお願いして。

で、寝て、朝パチンコ屋に9時からまた並んでいたら、そのコンビニから連絡があって、その日、ちょうど強盗が入ったんですよ。その時は本当に「行かなくてよかった……」と思いました(笑)。だから僕はパチンコに命を救われたんですよ。パチンコは命の恩人です。

あ、もちろん、その友人は無事でしたよ!

 

あと2000円で天井なのにお金がなくて、交番に行った

「ゴッド」であと2000円で天井という時に全財産が1円もなかった時もありました。

40分の休憩の時間では借りにも行けない。で、その時の僕は、汗でビチョビチョになりながら隣の人に頼んでみたんですよ。たまたま隣にいただけの、全然知らない人です。「あのっ……、すみませんっ、ううっ、……2000円貸してください」って(笑)。まあでも、その人も天井前の台を自分で打ちたいじゃないですか、だから当然貸してくれない。

最終的には交番まで行きましたね。交番に行って「ゴッド」の説明までしたんですけど、やっぱりダメでした。当たり前です。交番では貸してくれないです(笑)。

 

どっちに転ぶか分からない それが自分にとっての楽しさ

23、4歳くらいの頃には、新しい台が出たらとにかく打つ、という生活だったんです。もう楽しかったですね。でも楽しい分出費もかさんで……。

学生ローンで結構借りていたんですよ。で、5社目くらいのおじさんに150万くらいですかね、貸してくださいって言いに行ったら、「おい兄ちゃん、これ以上借りたら首吊らなあかんで」って言われてめっちゃ怖くなって。

その次の日からパチスロに真剣に向き合うようになりました。自分でノートを作って、ホールのクセとかも調べて、それでなんとか借金を返すことができました。

けど、その前の、訳も分からず打っていた時期が超楽しかったのを覚えています。その頃って、勝たなきゃいけないという思いが先に来ちゃって、僕正直途中から、楽しくなくなってきちゃったんですよ。

これは僕の性格なのかもわからないんですけど、実は7がそろった時よりも、激アツリーチの時、まだ当るかどうか、どっちに転ぶか分からない状態の方が楽しいんです。脳汁が出るというか。

それに、勝っている時代には勝っている人が、自分も含めてですけどすごく嫌いになりました。やっぱりプロ集団みたいな人は働いている人を下に見る感じとかが、自分もそうだったんですけど、やっぱりあって。ある時、それがすっごくダサく見えてしまったんです。そのへんから僕は「負けてやろう」じゃないですけど、適当に座って適当に1万円入れて打つのが一周回って「イイな」と思うようになりました。

 

コロナ・禁煙・遊技台入替 苦境の業界にエール 

パチンコ業界は今は厳しいと伺っています。キツい、ハマっている時期なのかなと思います。天井もあるかどうか分からない。でも、皆さんが一番ご存知だと思いますが「絶対に出ないパチンコ台はない」これです。やり続ければ、絶対に出ます!

 

今はとにかく、お金を入れ続けてください。いつか絶対報われる時が来ます! パチンコにお世話になった身として応援を続けて参ります。

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