アノ〝歌姫〟が戻らない年配層を呼び戻す⁉︎ 稼働アップに追い風を吹かせる時
2021.04.16 / コラム発生から1年以上が経過してもなお世界中で感染が拡大している新型コロナウイルス。
昨年の緊急事態宣言発令時に全国のパチンコホールが休業に協力し、営業再開はしたものの未だにコロナ前の稼働には大きく及ばない。
特に感染時の重症化リスクが高い年配層の戻りが悪いという声がよく聞かれる。日遊協から発表された「2020年パチンコ・パチスロファンアンケート調査」では、ホールに行く頻度について「前年より増えた」は11.6%、「前年より減った」は33.5%となっており、減った理由は「新型コロナウイルス感染リスクへの懸念」が最多の理由。
そんな中で新型コロナに対するワクチンの高齢者向け優先接種がついに4月12日からスタートした。
ワクチン接種が進み、徐々に元の日常への期待が前進してくる中で、年配層の来店を促すにはどのような機種を取り揃えておくべきか……。
年配層の興味喚起にはスペックよりもコンテンツ誘引
年配層に回帰してもらうために、まずは興味を喚起し来店動機を生み出すことが必要だ。
どの層にも言えることだが、遊技動機の中心となるのは言わずもがな〝機種〟だろう。
中でもターゲット層に親和性の高いコンテンツを合わせた機種がベストであることは間違いない。勝ち金額よりも勝率や楽しさを重視するユーザーが特に多い年配層には尖ったスペックよりも、いかに〝馴染み深い〟かが重要だ。
そんな中、4月5日から導入が開始された新台に年配層などライトユーザーに向けた馴染み深いコンテンツの機種が2つも登場している。
それはDaiichiの「P中森明菜・歌姫伝説~THE BEST LEGEND~」とアムテックスの「Pピンクレディー」だ。この2機種の中で、導入開始から好成績を収めている「P中森明菜・歌姫伝説~THE BEST LEGEND~」に注目し、その動きを掘り下げてみよう。
データから見える「P中森明菜」が秘めたアツい要素

P中森明菜・歌姫伝説~THE BEST LEGEND~
基本スペック | |
タイプ | 確変ループ |
通常時大当り確率 | 約1/319.68 |
確変中確率 | 約1/39.96 |
電サポ回数 | 次回まで or 時短100回 |
確変振分 | 61% |
トータル継続率(時短引戻を含む) | 約71.5% |
最大出玉※特図1・2共通 | 1500個 |
通常時最大出玉比率 | 82.5% |
特図2最大出玉比率 | 91% |
稀代の歌姫・中森明菜を題材とした人気シリーズ初の新規則P機。シンプルな確変ループタイプで、図柄揃いはすべて1500個大当りというのが特徴だ。シンプルなスペックだが、昨今のトレンドのように荒くないことが、逆に年配層をはじめライトユーザーに馴染みやすいといえる。
遊技時間と客滞率で好結果
4月5日から導入が開始された「P中森明菜」だが、同日導入機種の中でも遊技時間と客滞率でトップクラスの初日結果を残している。
P中森明菜 導入初日結果 (PiDEA調べ) |
||||
打ち込み玉数 | 平均売上 | 打ち込み時間 | 持ち玉比率 | 客滞率 |
33000個 | 13750個 | 7時間35分 | 46% | 185% |
4月5日には「P大工の源さん超韋駄天LIGHTver」や「ぱちんこGANTZ極」など話題の機種が同時に導入され、話題機に対してアウト(打ち込み玉数)に関しては若干下回るものの、「打ち込み時間」と「持ち玉比率」および「客滞率」に関しては高めの数値が出ている。
スペックが多様化し〝打ち出しを止める〟タイミングがある機種も増え、アウトと並んで「打ち込み時間」が重視されている。この「打ち込み時間」は文字通り〝打ち込んだ時間〟つまり遊技していた時間ということであり、この数値が高ければユーザーからの支持が強いという指標になる。同日導入の機種では「超韋駄天LIGHT」が約7時間50分、「GANTZ極」が約7時間20分、「ピンクレディー」が約6時間50分となっている。「超韋駄天LIGHT」に関しては確率帯が違うため単純な比較は難しいが、「明菜」の数値はハイミドル帯だけでみるとトップといえるだろう。
また「持ち玉比率」と「客滞率」は両数値が連動する関係性で、ともに現金遊技と持ち玉遊技の比率から算出される数字だ。客滞が高いということはつまり、大当りで獲得した持ち玉を使用して遊技している。すなわち粘って遊技しているということだ。
ちなみに導入初日の客滞率を比較してみると、年配層からの支持が厚い「CR大海物語4」が約150%、安定的なスペックで人気が沸騰した「Pとある魔術の禁書目録」が約156%となっており、「P中森明菜」は別格の数値を記録している。それだけ1人あたりの遊技時間が長いと捉えることができる結果だ。
前述したように昨今ではアウトに並んで「打ち込み時間」も重視されている。初日の結果から見えてきた「P中森明菜」が持ついくつかの要素を考えると、特に「アウトだけで単純に語れる機種」ではないことが伺え、多角的なポテンシャルを秘めている。
年配層と女性層の囲い込みに最適⁉︎
これらの結果から推察されるのは、中森明菜ファンや往年のパチンコ明菜シリーズを好んでいたユーザーが腰を据えて遊技しているということではないだろうか。
シリーズの過去機はシンプルなスペックと演出で中高年層を中心に人気を博し、また中森明菜の知名度が高いのも中高年層以上が中心。つまりファンやユーザーは中高年層がメインを占めているといえ、その層からの支持を得ているということだ。
この点に関し、都内の大手ホール店長や関東圏の大型ホールからは以下のような声が聞こえてきた。
- 「やはりコンテンツのターゲットである年配の方や女性の方が多く遊技され、しかも1人あたりの遊技時間が他より長いですね」
- 「ここ最近、来店頻度が下がっていたおばあちゃんが珍しく朝イチの開店から来られ、『久々に新台で打ちたいと思ったの』とおっしゃられていました」
- 「シリーズ好きの方というと中高年、中森明菜ファンというと女性が多いイメージなのですが、まさにそのような層のユーザーが遊技してくれてます。しかも、常連さんだけでなく自店では見かけたことのない方々も見かけるようになりました。中森明菜ファンの方や過去のシリーズを遊技していたスリープユーザーさんたちなのでしょうかね」
導入から1週間が経過する中で、実際にホールでも中高年〜年配層の客付きの良さが見えてきている。さらに中高年の女性が目立っており、中には新規客の取り込みに成功したと思われる事例もあるとのことだ。
コンテンツを起点として年配層の回帰を促せる可能性も十分に見出せ、しかもスリープユーザーや新規層の呼び込みにも期待できるようだ。

ファンからの支持で長期寿命に期待
前述したホールからは「1円コーナーの常連や甘デジユーザーの回遊が目立つ」という声もあった。多くの場合、ハイミドルの機種はハイミドル帯の中での回遊が多く、1円→4円ハイミドルの動きは珍しい。
この点からも中森明菜というコンテンツに惹かれて遊技しているファン層の支持が強いと思われ、新台中心ユーザーによる一時的な高稼働を記録したわけではないと推察できる。3週目以降の稼働維持にも期待でき、その推移に注目すべきだ。
また、過去のシリーズ機ではファンからの支持により4円から1円へ移動してからも長期稼働したほか、甘デジなど別スペックの登場により長寿命を記録した実績もある。長期にわたって使える機種であることも、ある種〝シリーズの特徴〟といえ、今作でもその点には期待できる。
中高年〜年配層だけでなく若いファンの取り込みも狙える⁉︎
導入直後からTwitterやネット上の掲示板ではユーザーによる感想などが多く投稿されている。コンテンツのコア層となる中高年以上の投稿も散見されるが、比率的には若年層の方が高いネット上での口コミということで、若いファン層の取り込みも狙える、と考えることも可能だろう。
Twitter上のユーザーたちの一部ツイートを紹介しよう。
午後からパチ屋行ったら今日導入された歌姫伝説4!
— 柊翔?@ジョジ民? (@hiragi55) 2021年4月6日
空いてたから初打ちしてきた!
前作から7年!
待ったよDaiichiさん…
ちび菜が更に可愛くなっちゃって!
驚いたのはピンク・レディーが平和から導入されてて
Daiichiピンク・レディーは無くなってしまったのかと思うと残念…#中森明菜#歌姫伝説 pic.twitter.com/JTncajs8MG
まだまだ初々しい頃の中森明菜。
— 競輪ボス (@d5x5Xxyoe4Y7mzl) 2021年4月5日
普段羽根モノしか打たないのですが、久々に新台が出たというのでついつい打ってました(^o^;) pic.twitter.com/pA6J3lxKuf
この瞬間がいいよねー?#中森明菜 #歌姫伝説 pic.twitter.com/t9CcpUhis0
— けんけん (@Canary_private) 2021年4月6日
もち玉なくなったので稼働終了
— 千斗雲 (@dianasilvanail) April 12, 2021
中森明菜
20.8/k
投資 4750発
回収 0発
打てそうな釘だったので夕方からでしたが試し打ち。
通常時は消化早めの8個保留。ただスーパーリーチ頻発したのでトータル消化遅めでした。
玉減り無。捻り8.9割決まります。
打ち込まないと分からないですが神台の予感です! pic.twitter.com/5EwRETIyVm
最終的に5万発を超えて、満足してヤメ??大好きな明菜で、ここまで出せたことが嬉しすぎる!!
— なおきっくす★ (@naokix1206) 2021年4月5日
今日は4回もセカ菜に遭遇。てんとう虫柄の復活も嬉しいけど、サファイアフラッシュまで復活してて懐かしすぎた?昔のDaiichi機種によくあったよね。#中森明菜歌姫伝説 pic.twitter.com/1mz5vWtSFD
上記の「なおきっくす★」さんはパチンコ必勝ガイドなどに出演するパチンコライターだが、生粋の明菜ファンだそう。そんな彼はシンプルな確変ループタイプである本機でトータル5万個超えの大勝を納めたとのことで、上振れした際の出玉感への期待も感じられる。
広い層の取り込み要因となり集客・稼働アップへ
4月5日から導入が開始された「P中森明菜・歌姫伝説~THE BEST LEGEND~」は、中高年〜年配層を中心としたファンたちの支持によって好結果を記録している。
上記のユーザーたちの投稿にもあるように、久々の〝明菜の新台〟ということで遊技する人も見られることから、ターゲットとなる中高年〜年配層の回帰へ向けた〝動機作り〟〝取り込み要因〟となれるポテンシャルは十分に持ち合わせている。
コンテンツの力によってターゲット層の回帰や新規取り込みなど集客を図ることができれば、週末をはじめとして稼働アップにも期待できるだろう。特に、旅行や観光地への行楽など規模の大きなレジャーの自粛が考えられる今年のゴールデンウィークでは、本機をはじめコンテンツ誘引による稼働にも期待したいところだ。
さらに熱心なファン層による支持が厚いため、長期の貢献にも期待でき、シリーズ実績から1円や甘デジでの活躍など寿命的にも〝長く使える機械〟であるだろう。ファン層には長く楽しんでもらえ、店舗としても長期活用できるとなれば一石二鳥だ。
ワクチン接種が始まり、世の中が少しずつ前進し始める時が近づいている。待っていても戻って来ない客層を呼び戻すために、「アピールできる機種」を取り揃え能動的に発信していかなければならない。