空き時間に何をするか? 昨年、そんな調査をあるシンクタンクが行った。
空き時間とは余った時間なので余暇産業とも連動する。
最近の調査なのでだいたい想像はつくと思うが、ダントツはスマホだった。ちょっと前なら本や漫画を読むこともあったが、今やスマホでそれも完結してしまう。ゲームだって映画だってスマホで事足りる。
空き時間の暇潰しは、スマホであることは電車内の光景を見れば一目瞭然だ。ほとんどの人がスマホを見ている。ヘビーユーザーともなれば1日10時間以上スマホを触っている。
博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所の調査によるとスマホの所有率は、2020年7月時点で93.2%に達している(調査対象は15歳から69歳)。
スマホが普及してあらゆる生活パターンまで変わってしまったように、余暇の主役の座はスマホに奪われている。
で、空き時間調査でパチンコをする人がどれぐらいいたかと言うと、1.6%だった。30年前の調査に比べると1/20 にまで下がっている、という。
この調査で20~30代はパチンコをすると答えた人はゼロだった。余暇産業にしてはおカネがかかりすぎる、というのがパチンコをしない人たちの意見である。
おカネがかかり過ぎるのは今に始まったことではない。正確には、おカネがかかってもリターンが期待できなくなった=負ける率が高くなった=パチンコはおカネがかかる、ということであろう。
とは言え、「レジャー白書2020」では2019年のパチンコ市場は前年比7000億円減の20兆円。年1回以上やった参加人口は、同60万人減の890万人。ホールに行った人の年間平均回数は28.5回から31.7回、年間平均費用は8万1800円から10万3400円に増加している。
参加人口が減り、回数と費用が上がっているのは、ヘビーユーザーが支えていることが浮き彫りになる。
業界人は減ったとはいえ、市場規模は20兆円もあることに安堵しているかも知れないが、ダイコク電機の直近データではコロナ禍に見舞われた2020年は市場規模は25%ダウンの14.6兆円に下がっている。特に中小・零細ホールでは平均値以上に落ち込み方が激しい。
空き時間調査の話に戻ると、20~30代がパチンコは「ゼロ」という現実の方が怖い数字である。その世代はパチンコを余暇産業とは見ていないわけだ。
「映画もパチンコと似た状況です。昔は1日映画館で暇が潰せて昼寝もできましたが、今は総入れ替え制になっているので、時間潰しで映画館を選択することはなくなっています。観たい映画と始まる時間をきっちり決めてから行くようになっているので、時間潰しではない」(調査会社関係者)
時間潰しとは、ちょっと空いた時間をどう過ごすか、ということだ。ちょっと1~2時間空いたからパチンコでもするか、という行動パターンにするためには、どうすればいいか。
少ない投資で「ハラハラドキドキしてパチンコって楽しい」と思ってもらうことだ。