客離れに歯止めをかけるには、14割営業が業界スタンダードになる日

2021.04.08 / コラム
「等価は止めなければならない!」とは数年前から、業界内から聞こえてくる言葉だが、それが日増しに強くなってくる。日報では40個交換を訴え続けてきているが、客のニーズは等価志向で、低価交換用の遊技機もない。現実的には35個交換が実情に即している、といわれている。

「パチンコがまだ良かった時代のダイコクSISデータでは平均の台粗利が3500円くらいだったと思う。その時と比べて稼働、売上がかなり下がっているのに粗利(3120円)がたいして変わらないのには驚きを感じる。粗利率が20%~30%の店がほとんどなんだろうな…。そんな状況だから当然回せないし千円15回以下の店がゴロゴロあるし、客も馬鹿らしくなってパチンコを止めるだろうし。業界が良かった時代は粗利率が10%前後でボッタクリ店でも30%だったから、今はほとんどの店がボッタクリ店で勝てる訳がない!」(元メーカー営業マン)

このコメントにパチンコ業界が抱えるジレンマが感じられる。みんな、等価は止めたがっている。今が主流の11.2割営業では、脱等価とは言えない。ここからも脱却してせめて14割分岐営業ぐらいまで戻さなければならないのだが、成功事例もあまり聞かないのでどこも踏み込めないで躊躇している。

業界が良かった時代とは40個交換の頃だ。当時の優良ホールは粗利15%で営業していた。客も多かったので出ている様にも見えたのが粗利15%だった。

この優良ホールのチェーン店が稼働を落とし続け、立て直しのためにナンバー1の釘の技術を持つ店長が派遣された。グループで粗利15%の時、リニューアルでは粗利10%で走った。人気機種は特にアケで稼働を伸ばす手法を取った。平常営業に戻しても10%を続けたが、それでも完全に復活しない。終いに粗利ゼロでやり、少しは上向いたが、最後は断念した。

業界が良かった時代に、繁盛店を作ってきた店長でも立て直せなかったケースだ。

今の店長は昔ほどの釘の技術もない中、11.2割営業では出すこともままならないので、立て直しができるはずもない。全国チェーンの店舗が4月4日を持ってオープン4年で閉店することでも厳しさが垣間見える。事前にきっちり市場調査を行い、20年の定期借地という形態で出店していることからも異常事態と言える。

「40個時代は稼働が伸びれば、粗利はそんなに取らなくても良かった。稼働を一番重視すれば、出すこともできるので店長は楽だった。40玉交換なので店長も釘を自分なりに工夫した。それが等価になり店長の釘のレベルも下がった。ハネモノは鳴かせる回数と拾うバランスがあった。鳴かせても拾わないとお客さんはイライラする。ハネモノこそが店長の腕の見せ所だった。等価は簡単に粗利も取れる。それが客離れにつながっている」(業界歴30年)

せめて、14割分岐営業が業界スタンダードになれば、客離れにも歯止めがかかるというものだ。







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