そうだったのか! 日本のカジノにスロットマシンがなかった理由

2021.04.07 / コラム
カジノ管理委員会が発表した日本のカジノに設置できるゲームで、スロットマシンが含まれていなかった疑問を明快に答えてくれたのはスロットメーカー関係者だ。

「パチンコ業界の保通協に当たるカジノのゲーミングマシンを検査する機関がまだ日本には認可されていないから。試験機関もできていないのに、ゲーミングマシンを認めるわけにはいかない」

鶏が先か卵が先か。この一言で疑問が氷解した。

物事には順番と言うものがある。第一弾で発表されたのはいずれもテーブルゲームばかり。ゲーミングマシンではないので、試験機関を通す必要もない、ということだ。

では、どこがゲーミングマシンの試験機関になるのか? そのヒントになるのがGLI Japanだ。

国家公安委員会が風適法に基づき一般社団法人GLI Japanを指定試験機関として定めたのが2018年8月6日。いわゆる第二保通協である。実際に試験申請を開始したのは2020年7月21日からで、実働は今年から。

同社が1月に受理したパチンコの型式試験6件のうち、結果交付は3件で、1件が適合、2件が不適合だったことを発表している。

同社は2014年3月、カジノマシン試験業務大手であるアメリカのGLI( Gaming Laboratories International)の基金拠出で設立され、本部事務所は東京都江東区にある。

GLIは、ラスベガスやマカオなどカジノがある国では名の通った存在で、カジノ内に設置されるスロットマシンなどの機器を監督官庁にかわって検査・認定するアメリカの民間企業である。

GLIが発行した認定書を各国の行政府へ提出することにより、その国のカジノに設置することが許される。

世界に23の拠点があり、世界の検査業務の80%以上を同社が占めており、その日本版法人がGLI Japanというわけだ。

GLIが日本へ進出したのはパチンコ業界の検査業務のためではなく、カジノが主戦場であることは誰だって想像がつく。

パチンコ業界のメーカーは、スロットマシンやゲーミングマシンで日本のカジノ参入を目指しているところは当然ある。さらには、世界初、管理遊技機でパチンコをカジノに設置したい夢もあるだろう。

いずれにしても、ゲーミングマシンの基準もまだ決まっていないので、早く検査業務を行う指定機関が誕生しないことには、機械ものは全く前に進まない。

「ヨーロッパはテーブルゲームが主体でドレスコードもある。オープン当初はヨーロッパスタイルでスタートして、その後になるのでは? 機械ものの不正はパチンコ業界の黒歴史でもあるので慎重になっているのではないでしょうか」(事情通A氏)

その一方でこんな情報もある。

「日本にはパチンコ店やゲームセンターにもすでにスロットはある。それでカジノとの棲み分けをするために、日本には敢えてスロットマシンを置かないようです」(事情通B氏)

ちなみに、カジノ管理委員会の事務局メンバーは各省庁からの出向組で構成されている。

■カジノ管理委員会

委員長 北村道夫(検察庁)
委員    
氏兼裕之 財務省
渡路子  DPAT(医療研究所)
遠藤典子 慶大特任教授
樋口建史 警察庁

(事務局)
事務局長 徳永崇(警察庁)
事務次長 並木稔(財務省)
監察官 自見武士(法務省)
総務企画部長 徳田郁夫(財務省)
総務企画課長 公文書管理官(併)芹生太郎(財務省)
総務企画部 総務課長 芹生太郎
総務企画部 総務課 企画官 伊藤哲郎(警察庁)
総務企画部 企画課長 日野祥英(国交省)
総務企画部 企画課 国際室長 石川勇(外務省)
総務企画部 企画課 企画官 加藤隆(総務省)
総務企画部 依存症対策課長 永田充生(厚労省)
監督調査部長 坂口拓也(警察庁)
監督調査部 監督総括課長 住友一仁(警察庁)
監督調査部 監督総務課 企画官 杉山喜実(農水省)
監督調査部 規制監督課長 阿波拓洋(警察庁)
監督調査部 規制監督課 犯罪収益移転防止対策室長(事務取扱) 阿波拓洋
監督調査部 規制監督課 企画官 芦立勝博(経産省)
監督調査部 調査課長 小森敦(国税庁)
監督調査部 調査課 企画官 稲垣吉博(警察庁)
監督調査部 調査課 調査官 水沼仁志(国税庁)
監督調査部 調査課 調査官 菊澤信夫(警察庁)
監督調査部 財務監督課長 笠松拓史(総務省)







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