誰もが無理だとは思っていたが、東京オリンピックの海外からの観客は受け入れないことが20日、正式決定した。海外で販売された63万枚のチケット代は払い戻される。海外からの観客が来ないことで1500億円の経済効果が失われる、という試算もある。
すでに諦めていたとはいえ、オリンピックに弾みをつけてさらなるインバウンド需要4000万人を当て込んでいた旅行業界、ホテル業界からは落胆の色が隠しきれない。
新型コロナが収束して、インバウンドが復活するまでには5年以上かかる、といわれるだけに、それまでの体力が持つかどうか。
いずれにしても東京オリンピックは、最初からケチのつきっぱなしだ。東京大会はコストのかからない大会にするために「7000億円でやる」と招致合戦では言っていたが、いざ、東京に決まるとテロ対策に暑さ対策、と予算はどんどん膨れ上がり3兆円に達してしまった。
財政が日本一豊かな東京だからそれだけ膨れ上がっても余裕があった。3兆円の予算をかけてもインバウンドで取り返せるものと誰もが信じ込んでいた。それを新型コロナがそれぞれの思惑をすべて吹き飛ばしてしまった。
「7000億円の予算も、フクシマがアンダーコントロールされている、というのも東京に招致するための全部嘘だった! 3兆円の損失はどうやって穴埋めするんだ。コロナ対策で都の財政も逼迫してきているというのに、古くなった下水道工事でカネのかかる公共工事は一杯ある。本来都に入る税金もふるさと納税で地方へ回ったが、もう止めて欲しい」と話すのは都庁職員。
財政赤字に関しては相当な危機感を持っているようで、こんな話を引き合いに出す。
「モントリオールオリンピックは10億ドルほどの大赤字を出しています。この借金をモントリオール市民は30年かかって市民税やたばこ税で払わされていました。都の財政悪化はもはや避けられませんから、いずれ都民から税負担をしてもらうことになります」
職員の間でどこから税金が取れるか、という話の中で、槍玉にあがるのがパチンコ業界である。彼らの目には未だにパチンコホールは儲かっている様に映っているようだ。「パチンコ台設置税」などと新たな名目を考えているようだが、ま、与太話にしてもらいたいものだ。
それよりも新たな税収確保ということでIRカジノ誘致に手を挙げることの方が、よっぽど現実的な話だ。今までは財政が豊かだったために、都民が反対するカジノに対して小池都知事は慎重な姿勢を示していたが、きれいごとも言っていられない状況になっている。職員の間では都の財政を立て直すには「カジノ招致」で意見が一致した。オペレーターからしても横浜より東京の方が魅力的だろう。