2010年には年間290万286台販売されたパチンコ機が、2019年は96万3289台へと激減している。コロナ前の数字だが10年余りで約200万台のパチンコ新台市場が消失している。これに伴い機械メーカー各社の直近のIR報告を読むと惨たんたる数字のオンパレードとなる。
10年前と比べると売り上げは半減どころか6割、7割減と厳しいものがある。
2011年8月21日のエントリーでは「機械メーカーは業界のがん細胞か?」のテーマで、パチンコ業界の寿命を蝕む存在がメーカーである、と指摘していたがそれが現実味を帯びてきた。
地球にとって人間はがん細胞だといわれているが、人間が経済活動することは、地球環境を破壊していくためで、それをパチンコ業界に置き換えたものだった。
パチンコ市場が縮小する中にあっても、機械メーカーは自社を存続するために、販売台数が下がる分を機械代の値上げでカバーしてきた。その姿勢は現在も変わらない。
組織が大きくなり過ぎた機械メーカーは、生き残るために機械代は下げられない。得意先であるホールが無くなれば、自分たちも生き残れなくなるのに、「中古しか買わないホールは客ではない」と中小・零細ホールを切り捨ててきた。ところが、新台を買ってくれる大手でさえも台数を控えるようになった。
こう書くと必ず、ホールの方が「がん」と反論が入る。
ホールの中間管理職は「本音」と前置きしてこう続ける。
「メーカーをこんな風にしてしまった、我々にも責任ありますよ。新台の寿命を縮めてるのも、いつからか新台で回収し始めたからです。新装開店は、お祭りじゃなくどこも回収日ですからね。パチンコ業界は、衰退しか残されてないです。いかに緩やかに衰退するか?生き残りというのか、延命というか。10年後も予測が出来ないこの業界で働くには、厳しい将来が待っている覚悟が必要です」
さらに、悪いのは客との意見もある。
「客のレベルの低さも問題。メーカーだけの問題じゃないです。店も、客にも責任ありますよ。勝ち方もスペックも釘の見方も解らずに、ひたすら万札ブチ込む客を見てると…凄いなぁ…ってドン引きします。これじゃ、店にナメられて当然。どんなにグズ台でも、新台で入れば誰かしら打ってるし…可哀想な客。 自業自得の一言でかたずけられるこの業界に未来は無いですよ。これが自然の摂理です」(コウさん)
ユーザー離れが続いていたにも関わらず、原因は追求せず、メーカーは高額の機械を作り続けた。ホールは文句を言いながらも値下げを求める行動は起こさず、新台を買い求めてユーザーを待つ。そんなビジネスモデルは限界に達している。
変化のある具体的な行動を起こさないと業界は何も変わらない。
ユーザーを増やすことを諦めるな!