コロナ解雇のパート主婦は、またホールで働きたい!

2021.02.17 / コラム
週刊誌のライターが生活困窮者のテーマ取材で、34歳のシングルマザーAさんに巡り合った。時給の高い職種を選んだ結果、1300円が目に留まりホールで働くことになった。保育園には3歳児を預けた。

仕事は表周りだった。子供が熱を出して急きょ休まなければいけなくなっても、配慮してくれて働きやすい職場だった。

勤務していたホールはコロナ禍の影響をまともに受けることになる。

昼間の客数はコロナ前の半分、夜はさらに減った。スロットコーナーは、コイン補給の仕事もほとんど不要になった。客がいないのでトラブル対応もほとんどない。

表周りの仕事は数少ない客の「出なくなった」との愚痴を聞くことに変わった。

客数が減れば、ホールは釘を閉めて利益確保に走る。顔見知りの常連客がだんだん来店しなくなった。

暇で暇でしょうがない状態が続いた。正社員だけでも持て余すほどの仕事量だった。

客数が減っても固定費は変わらない。まず、人件費を削減するために、ホールが下した決断は、持続化給付金を申請することもなく、パート、アルバイトを全部切ることだった。

Aさんは退職金代わりに1月分の20万円が支給された。

Aさんはすぐに次の仕事を探した。スーパーで時給1020円のレジ打ちが見つかった。レジ打ちは1時間で客が途切れることもなく、忙しかった。同じ場所にずっと立っているのが辛くて仕方なかった。軽度の発達障害で同じ場所にじっとしていられないからだ。ホールは歩き回ることができるので向いていた。つくづくホールは時給が高い割には仕事は楽だったことを痛感した。

閑話休題

Aさんはある日、街中でホールの常連客だったBさん(60代)にばったり出会った。A子さんが勤務中に来店しなくなった客の一人だった。

「出なくなったからな。他のパチンコ屋も皆一緒で出なくなった。勝てる気がしなくなった。顔見知りもだんだん姿を見せなくなったので行くのを止めた。われわれ年金生活者はもう行かないよ」とパチンコを止めた理由を話した。

Bさんの息子が「おやじの暇つぶしに」と中古のパチンコ台をプレゼントしてくれた。

指で命釘を広げた。

「1000円で25回以上回ればパチンコは楽しい。保留玉が一杯になるぐらい回さないと客はどんどん減るよ」

しかし、1カ月もすると飽きてしまった。

市役所に問い合わせると、廃棄するには粗大ごみでは扱ってくれないことも分かった。

そこでBさんは家庭用のパチンコ台も月1回、定期的に新しい台をレンタルするシステムを作ってくれたらいいのに、と考えた。

そんな近況報告を立ち話でした。

で、Aさんは、別れた亭主から毎月3万円の養育費を入れてもらえず、景気が回復したらまたホールで働きたいと願っている。












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