また一人パチンコから競馬へ

2021.02.04 / コラム
コロナ後は、稼働のいいホールでコロナ前の稼働・売り上げは2割減。稼働が芳しくないホールともなると3割、4割減となっている。

客の戻りが悪いのはコロナを心配するお年寄りに頼り過ぎた結果でもあるが、約2割のホールが赤字に陥っている、という。そうしたホールが店を畳んでいく。2月4日現在、営業している店舗数は8560店(ここパチ調べ)だが、「7000店へ向け加速する」と予想する業界アナライザーもいる。

お客が戻らないホールが粗利を確保しようと思えば、「閉める」ことが一番簡単な方法である。閉めるといってももちろん店を閉めるわけではない。

タクシードライバー歴25年のAさん(55)は、パチンコ歴も同じく25年になる。独身のAさんは休みの日はパチンコを打つのが楽しみで続けてきた。

緊急事態宣言の時は、マイホールを始めとして競合店も全部閉まっていたので、パチンコを打つことはできなかった。

ホールが営業を再開して何度か打ちに行ったが、「全く勝てない。遊ぶことさえできない」と渋クギに閉口した。Aさんの選択は勝てそうなホールを探すのではなく、「パチンコを打つことがアホらしくなった」とキッパリと足を洗ってしまった。

閉店する店はせっかくパチンコを打っていた客まで、道連れにしてしまう傾向があるようだ。

で、Aさんが始めたのがドライバー仲間の間で流行っている競馬だった。

今はネット会員になり家で結果を楽しんでいる。

「競馬はネット投票で家からできるので、何よりも体が休まる。パチンコは体も疲れるのでやる気も起こらなくなった」(Aさん)

さらにAさんを競馬にのめり込ませる“事件”が起こった。

ここぞというレースに次ぎ込んで80万円勝ってしまったのだ。

「パチンコで80万円なんか勝てることない。今まで、1万突っ込んで2万円でも戻ってくれば楽しかったが、パチンコは魅力的ではなくなった」(Aさん)

かつては公営ギャンブルの売り上げをパチンコが奪っていたのに、今やパチンコから競馬などの公営競技へシフトする客が増えている。

もう一つAさんが競馬を支持するのはコロナの感染リスクだ。

「もし、パチンコ店で感染したら、給料を稼げなくなるだけでなく、職場にも迷惑をかける。家でネット投票する分には感染リスクもないからね」

ギャンブル依存症対策の対象になっている公営競技は、今日も元気にテレビコマーシャルを流す。







オリジナルサイトで読む