これは広告収入が減っているテレビ局にとっては朗報だ。
ちなみにテレビ局がどれほど厳しいかを表す数字がこれだ。
■2020年前期CM減少比率
日テレ17.1%
テレ朝20.3%
TBS18.2%
テレ東16.8%
フジ20.7%
※営業収益はテレ朝、TBSが赤字
東京キー局で平均すると20%近い減少率となっている。
ネット広告の台頭で広告収入が減少の一途を辿るテレビ局だが、その影響は番組制作にそのまま表れる。
「ギャラが高い大御所は使わなくなります。大御所でも視聴率が取れないと切られることになります。さんまさんは自分の番組が打ち切られると、その番組に携わっている制作会社やその下請けの仕事がなくなるのが嫌で自分のギャラを下げて、番組が打ち切られないようにしています。後は出演者の数を減らす。あるいは、ふわちゃんのようにギャラの安い芸人を使う。CMが2割減ったことで制作費予算は5~10%削ることになります」(在京キー局関係者)
日工組の決定を受けて早速、広告出稿実績があった遊技機メーカーに営業をかけた局がある。
ゴールデンタイムにメーカーのCMがガンガン流れていた時代は確かにあった。
期待に胸弾ませた営業は「反応の悪さにガッカリしました」と肩を落とす。
「CMを作るには当然制作費がかかりますが、メーカーさんはプロモーションビデオを作っているので、それをアレンジすれば制作費もかからないのですが、余力はなかったですね」と付け加える。
販売計画をこなすのも大変な時代で、売れる台数しか作らないので、テレビCMを流す意味もない。そもそも、儲かっていたから、節税対策で広告宣伝費も湯水のように使っていた。メーカーがテレビCMを流すことで、「パチンコを打ちに行きたい」と思う人が出れば、ホールへの援護射撃にもなっていた。
儲かっていないのでそれどころではないのが実情だ。
テレビCMの自粛が10年間続いてことで、より費用対効果が高く、ターゲットへ直接届く、ネット広告の方へシフトしてしまった。
業界人なら遊技機メーカーにテレビCMを出す余裕がないことは分かっていたが、案の定の結果だ。
上場メーカーの役員も「ウチはテレビCMの予定はありません。今の状況では各社とも厳しいと思います」と素っ気ない。
パチンコだけでも年間400万台が売れた時代は、はるか遠い過去の話。リデイン調べでは2020年のパチンコの販売台数は91万8000台、と100万台を割っている。
