パチンコから競馬にシフトしたタクシードライバーたち

2020.12.30 / コラム

タクシードライバーは月12日出勤する隔日勤務が多い。1日出勤して1日休むイメージなので昔は休みの日にパチンコへ行くドライバーが少なくなかった。

朝8時に出庫し、深夜2時に入庫する。洗車を終え、1日の仕事が終わる。休憩室に集まっていた12人のドライバーの話題は、11月29日に開催されたジャパンカップだった。

コントレイル、デアリングタクトの無敗3冠馬に加え、GI8勝のアーモンドアイが引退レースとなれば、日本の競馬史上、空前絶後の夢のレースになるとばかりに、競馬ファンは大盛り上がりである。

この3頭で3連単、3連複では高配当にならない。ダークホースはどの馬になるのか。1枠1番は過去7割の勝率がある、などと予想を楽しんでいた。

「競馬は100円が5万円、10万円になるから夢がある」と一人が口を挟んだことがきっかけで、パチンコの話になった。

「初代牙狼では月に最高で76万円も儲けさせてもらったことがある!」

「確かに1カ月で20~40万円は勝つこともあったよな」

「MAX機は一発逆転があったから面白かった。1万円が10万円になることもあった。5万円負けても取り戻せるかも知れないと思ったから行った」

「一発逆転で勝てる要素があったから夢があった」

パチンコを打っていたドライバーの多くが、一発逆転できなくなったことから足を洗い、競馬にシフトして行った。

一発逆転好きは競馬や宝くじにおカネを使うようになった。

「自分が乗っている車番をずっと買い続けた結果、ナンバーズで6年ほどかかったけど45万円当たったよ。結果がネットで発表されるけど、それを見るのが1日の楽しみ」

ドライバーたちがパチンコを辞めた理由は一発逆転できなくなったことだけではなかった。

イベントが禁止されたことも大きな要因だった。

「機種イベントがあった時は、台選びを考えることもなく、イベント台が取れたら勝てる気がした。だからイベントは行くきっかけになっていた」

1/400のMAX機がなくなったこと、機種イベントが規制されたことが遊技人口が減っている原因であることは今さら言うまでもないことだが、ここに出玉規制が加わり、パチンコ業界は着実に縮小の道を歩んでいる。

パチンコ業界が復活するにはMAX機やイベントの復活しかない。そのためにはパチンコ業法の制定で何らかのパチンコ税を払う形で、これらを認めてもらうしかない。

公営競技や宝くじは納付金が免罪符となってギャンブルを認めてもらっているのだから。








オリジナルサイトで読む