コロナ禍でも忙しいメーカーがあった

2020.12.28 / コラム

東京オリンピックと旧規則機の撤去は来年に延期となり、コロナ禍に明け暮れた2020年だが、本当にコロナの影響が出て怖いのは来年だ。

冬のボーナスは出ないのはまだいい方で、会社が倒産したり、リストラで職を失ったりで、10月の完全失業率は3.1%に達し、完全失業者数は215万人となっている。2019年の完全失業率が2.4%、162万人と比較してもコロナの影響が読み取れる。

「今やっている仕事の7割が経営企画の仕事なのですが、その中でも融資計画に重点を置くようになりました。今まではキャッシュがあったので資金繰りに困っていなかった。金融機関から持ってくる案件も付き合いの関係で、いいものだけを摘まんでいました。2021年は機械代が増え、売り上げ、粗利はコロナ前の8割で利益は薄くなる。収入が減って借金が大きくなる。何よりも資金繰り計画が重要になってくる」(ホール企業幹部)と顔を曇らせる。

ホール企業のメインの取引先は地銀が多い。コロナで倒産する中小企業が増えているので地銀は将来発生する損失を前倒しで処理する貸倒引当金を増やしている。自己資本比率が低下して、いつ貸し渋りの方向に転じるか、ホールの財務担当はナーバスになっている。

「事業計画と資金繰りをどう賄うか。計画は悲観的ですね。下振れしたらしんどい。2019年の8割で、97%達成の予算組が適正ラインではないでしょうか。毎年4~6%の割合で下がっていたけど、3~4年先のことがこの1年で一気にきた。経営課題を組みなおさなければいけません」(同)と頭を抱える。

来年のことを考えるとホールには明るい材料は何一つない。ホールの購買力が落ちれば、遊技機メーカーも販売台数に直接影響する。

リデザイン調べによると2020年のパチンコの販売台数は91万8000台と予測している。コロナがなければ、撤去需要は130~150万台が見込まれていただけに、メーカーとしては大いに痛手。大手ともなると工場の稼働が10%程度とも言われている。メーカーも経費の削減のために、内製化していたものを下請けに出すようにしている。

それで大忙しの会社もある。それまではメーカーの下請けで、盤面のデザインや役物開発を行っていたが、パチンコ・パチスロ筐体のトータルデザインから製造までを行っている。

「メーカーも販売台数が少なくなっているので、コスト削減のためにアウトソーシングするようになった。100人ほどの規模の会社なんですが、冬のボーナスも一杯出たみたいです。仕事が忙しすぎて協力会社を募集しているぐらいです」(経済紙記者)

メーカーからのアウトソーシングが集中することで、儲かっている会社が業界にもある、ということは、需給バランスが噛み合えばまだまだ悲観することばかりではないことを物語っている。







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