行き場を失ったA5ランクを普通の値段で出したらリピーターが増えた焼肉をパチンコにも応用
2020.12.18 / コラム副業で焼肉屋も経営しているホールの話だ。
コロナ禍で外食する機会が減り、飲食店向けの高級食材がダブついているのはニュースにもなっている。
ホールを辞めて実家のメロン農家を手伝うことになった人のケースでは、高級品のクラウンメロンを栽培している。贈答用に桐の箱に入ったものになると1万5000円から3万円の値段が付く。
なぜ、そんな値段が付くかと言うと、1本の木に一つだけ実らせ、全栄養を注ぎこみ育てられるからだ。クラウンメロン専用のガラス温室で栽培され、夏は冷房・冬は暖房を使用し徹底した温度管理の下に育成している。
ところが、コロナ禍で贈答用のクラウンメロンが売れない苦境に立たされている。売れなくてもメロンは日々成長するので出荷しなければならない。それこそ待ったなしだ。
そこで苦肉の策が2ランクぐらい値段を下げること。値段は一度下げると上げづらい。究極の選択だが、ジュース用にすればそれこそ二束三文だ。
で、焼肉の話に戻すと、高級和牛も外食を控えることで、行き場を失っている。クラウンメロンのようにA5ランクの肉が2ランクぐらい下げた値段で焼肉店に流通している。
で、ホールが経営している焼肉店ではA5ランクの高級和牛を従来の値段で、A5ランクとは謳わずに出していると、「今までよりも美味しくなった!」と食べたら味の違いがすぐに分かるので、リピーターが増えるようになった。
70代のオーナーはホールは1店舗しか経営していない。現在経営している焼肉店を2店舗から拡大するために、4法人10店舗の買収を計画している。それぞれの焼肉店のタレの味をオーナーが気に入ったためだ。買収金額が高かったために応じるようだ。
で、ホールの方は建物も設備も古いために、新たな設備投資をしても地方では回収できる見込みもないので、見切りを付けようとしている。
ホールは息子が専務でやっているのだが、閉店の話に待ったをかけた。
「A5の和牛を安く提供したらリピーターが増えることが分かったので、これをホールにも応用したい。ホールを閉める前に、もう一度挑戦させて欲しい。とことん出したらお客さんは戻ってくるかもしれないので、やらせて欲しい」と申し出た。
地方のホールだが競合店がいないために、今はまだ赤字にはなっていない。400台を半分の規模にして低価交換で玉を出す営業に挑戦する、というのだ。
その心意気を買いたい。
どうせ、閉めると決めているのなら、何かにチャレンジしてそれでもダメなら閉めればいい。