ピデアな男 郡川 侑己(夢屋 高富505店 店長)

2020.12.08 / 連載

1970年、愛知県でダイエー観光株式会社として始まった夢コーポレーションは、いまや33店舗のパチンコ店を展開するようになっている。2015年にはダイナムと株式交換契約の締結をし、より組織として固く強くなった。

そんな夢屋の中でも最新の店舗が、岐阜県の夢屋高富505店だ。

ここで店長を務める郡川侑己さんは、今年の2月に店長になった1年生。1年目で旗艦店を任され、就任後すぐにコロナで休業、一時的な業績ダウン……、非常に難しい時期に店長デビューとなったが、そこで何を考え励んだのか。

コロナ前と大きく変わったのはホールに出る時間です。
とんでもなく増えました。1日3時間4時間は当たり前

 

PiDEA編集部(以下略編) 今日は、当企画に逆オファーいただきましてありがとうございます。

郡川侑己店長(以下略郡) まだ店長になって1年目なんですが、店長になる前からこの企画に出させてもらうのが夢だったんですよ。

編 光栄です。店長1年目ということですが、郡川店長はもう社歴も長いのでしょうか。

郡 高校卒業と同時にこの会社に入社したので、社歴イコール業界歴で18年目になります。

編 現在ご年齢は。

郡 35歳です。

編 夢コーポレーションさんに就職したのは何か理由があったのでしょうか。

郡 母がパチンコ好きで、夢コーポレーションのファンだったんですよ。僕自身も興味がありましたし、いくつかある求人の中でも、パチンコ店で勤めるとなれば夢屋一択でした。

編 なるほど。しかし、大変な時に店長になりましたね。

郡 いや本当に。今年の2月に店長になったのですが、そこからすぐに休業です。先代の店長がすごく優秀な方で業績もグループ内でも良い方です。理由がコロナであれなんであれ、この好調を壊してしまうのではという不安を感じていました。

編 以前は地域ナンバーワンだったんですか。

郡 そうですね。この地域では、シェア40%くらいを抱える圧倒的なナンバーワン店舗でした。稼働率でいえば46%くらい。

編 不安を感じたのは、責任感が強いからこそじゃないですか。実際に休業明けからは下がってしまったのでしょうか。

郡 もう壊れましたね。客数がみるみる減っていくんですよ。従業員も「会社が潰れるんじゃないか」というくらい不安を感じていたんじゃないかと思います。そんな中で1年生店長としては、根拠なんてないけど、「本当に良くなるから、大丈夫だよ」と言い続けるしかなかったです。自分だけは絶対暗くなっちゃいけないなと。

編 内心、自分にも言い聞かせるみたいな気もあったりしたんでしょうか。

郡 ですね。4月くらいからパチンコバッシングがあったりして、営業するだけで悪と見なされました。売上も粗利も下がって、従業員も「このまま営業することが本当に正しいのか」と迷い始めていました。

編 今はどれくらいの稼働があるのでしょうか。

郡 コロナ前に比べたら全然。稼働率で34%くらいです。1円パチンコの年配層は客足が遠のいてしまったんですね。6月以降はお店に来てもらうためには何ができるだろうかを考え、とにかく当店が「安全・安心」であることを感じてもらえるよう努めています。

編 今は安全・安心のアピールは本当に重要ですよね。

郡 ホールに出てとにかく除菌をしている行動を見てもらおうと考えています。「そんなところまで気にしているんだ」と思われるかもしれないけど、精算機のタッチパネルとか、自動販売機の釣り銭出口とか。「とにかく動け」というのがその時の合言葉です。正直、業績が下がったのは他にも要因があったかもしれません。競合店がガンガン新台を入れてくる中でうちは少しだけ。商品的な部分で魅力を提供することができなかったのかなとも思いますね。

編 コロナ前と後では、郡川店長の中で、何が一番大きく変化しましたか。

郡 大きく変わったのはホールに出る時間です。とんでもなく増えました。それこそ、今までは1日の中で30分から1時間出ていればいい方でした。でも今は1日3時間4時間は当たり前。店長とか役職関係なく、あくまでもスタッフの一員としてお出迎えするんです。ただ、こうなってから実は良いこともあって、僕が新しい店長ということをお客さまが分かってくれるんです。「店長が一緒になってしっかり除菌してくれているから、この店はすごいね」とお声をいただいた時は、やる気が伝わった思いがしました。

編 副店長から店長になってやりがいを感じるのはどんな時ですか。

郡 店長や社長など、リーダーに求められるものって決断力だと思っています。副店長時代との一番大きな違いはここだと思います。これはちょっと店舗自慢になってしまうんですけど、僕が「これをやろう」と発信をすると、勝手に物事が進んで行くんですよ。マネジャーやスタッフたちが自分たちで考えて、勝手に進めてくれるんです。すごく助かっているというか、周りに助けられているなと感じます。だからこそ僕はしっかりと意思決定をしてあげないといけません。店舗を運営するための業務は、副店長の時から問題なくできていますが、リーダーには責任と結果が求められる。それも自分の決断が大きく業績を左右するので、やりがいもひとしおですね。

編 2月になってからなので、まだ振り返るには少し早いかもしれませんが、郡川店長がもたらした功績って何かありますか。

郡 お恥ずかしい話、2月に店長交代となった時に、「絶対に頼らないようにしよう」という妙な意地みたいなものがあったんです。その結果、今まで先代の店長が決めていた営業のバランスが僕になってからちょっと崩れてしまったんです。今まで予算が未達になることなんかない店舗だったのに、2月になった途端に僕が落としてしまった。その時にすごい落ち込みましたね。「1年生店長だからしょうがない。誤差の範囲だよ」と優しい言葉をかけてくれた先輩もいました。でも、ある先輩は、「お前ならできるということでお店を任されているんだよ。予算は守って当たり前だからもう落とすな」と厳しい声もいただき、その信頼に応えることができなきゃダメだと反省と後悔をしたんです。3月・4月・5月は予算もあってないようなものになってしまったのですが、6月からは1回も落とさずに継続できています。

編 予算を割ってしまったというのは、何が原因だったのでしょうか。

郡 夢屋高富505店って夢屋の中で一番新しい店舗なんです。僕自身1年生店長ですが、会社って基本的にできないことは言わないと思うんです。できると思って任せてもらっている。当時はモチベーションは高かったし、すごいたくさんのアイデアを考えていました。稼働自体は落ちてなかったんです。

編 薄利傾向にしたかったという思いがあったのでしょうか。

郡 僕が店長になったばかりのころってあれもこれもだったんです。

編 あれもこれも?

郡 市場の中で、他の店舗にない分野を見つけ、そこに特化すればいのに、20円も伸ばしたい、4円も伸ばしたい、低貸ももっと伸ばしたい、でももっと伸ばすためには……と、本当にいろんなことに手を出してしまって、それで失敗してしまったんです。今はもうカテゴリーごとに役割があると思って割り切って営業しています。1つ芯ができた感じで、安定してきました。やっぱり前の店長とは変わったことをしたくなってしまうんですよね。もっとこうしたら上がるんじゃないかと思っていたことが、現実にはなかなか難しいこともあったりして。収益バランスが崩れるとこうなるんだと勉強になりました。

編 店長職って難しいですね。

郡 毎日が難しいですね。人の問題、営業の問題、店長として何らかの行動をしなければいけないですし、100%常に納得できる答えはない。当然上手くいったことに関しては「よっしゃあ!」となりますけど、そんなことって少ないので、毎日反省しきりです。

 


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