大手も関心薄の管理遊技機
2020.12.07 / コラム来年秋には登場するスケジュールで開発が進む管理遊技機。先行するメーカーはすでに保通協に管理遊技機を持ち込んでいるが、これは発売する予定のない機種だという。それもそのはず。専用ユニットがまだ完成していないので、ユニットに接続しての試験ができないのも原因の一つか?
改めて管理遊技機がなぜ必要なのかと言うと一番の目的は、ギャンブル依存対策の強化で、適度な射幸性の監視と抑制ができるために当初は難色を示していた警察庁もGOサインを出すことになった。
では、管理遊技機のメリットとは何か?
日工組によると以下を挙げる。
・感染対策強化
(これはコロナ禍で生まれたもので、玉やメダルを触らなくて済むためだ)
・蓄積データをエビデンスとして規則・規制・内規の改正
・ゴト撲滅(パチンコ→磁石・セル・ピアノ線、玉持ち込み、糸付き玉の防止、スロット→セレクター、払い出し、メダル持ち込み)
・設備メンテ、保守管理コスト軽減
・入替、部品交換手続きの簡素化
このメリットを見る限りホールの触手が動くようなものはない。それでなくてもコロナ禍で稼働、売り上げ、粗利がコロナ前に戻ることもままならない状況では、誰が買うの?というのが率直な感想だ。
さらに、管理遊技機・メダル遊技機を使うには専用ユニットを新たに購入しなければならない。通信費やシステム使用料は、300台のホールで年間54万円もアップすることが想定されている。あらゆるコストの見直しが図られている時に、ランニングコストがアップするのはいただけない。
「管理遊技機でファンを創出するイノベーションは起こせない。射幸性だけではファンは増えない。玉を出して景品と交換ではなく、別のサービスの提供がなければ、閉塞感は改善できない」と断言するのはパチンコメーカーの社長。
では、どうすれば若者がパチンコに関心を持ってくれるのか?
「若者に関心があるのは音楽とファッション。反対に嫌うのがギャンブルとタバコ。パチンコ店から音楽とファッションなどの付加価値を提供する何らかの仕掛けが必要になる。管理遊技機になれば置き方が自由になるので、今までにない斬新さは出せる。そこに若者に受けるファッション性と音楽を融合させる」
ゲームには興味を持つ若者をどうやってパチンコに惹きつけるかの課題についてはこう話す。
「ゲームの世界は自分の意思が反映されて、仮想空間に入り込み、疑似体験ができることが魅力。これをどうやってパチンコに組み込むか」
今のパチンコは大当たりの確率をメインに開発しているが、ここから変えなければならない。
ところで管理遊技機について大手ホールは今のところ採用する予定はないようだ。業界不況に加えコロナ禍で余計なコストは掛けたくない、と言うのが本音。
現状では射幸性が上げられないのであれば、メーカーにはホールの無人化を促進するシステムの方が求められている。
機械代の次に大きい人件費の削減は大手ほど喫緊の課題になってきている。