公的資金で救われた2020年、正念場は2021年

2020.11.18 / コラム

「表面上は黒字だが関連会社もすべて赤字。債務超過でヤバイ」

ホールのメインバンクの関係者が喋ったことは、漏れ伝わってくるものだ。

コロナ禍で大変なのは何もパチンコ業界に限ったことではない。人の動きが制約されたことで、航空会社やJR各社も来年3月の決算では大幅な赤字額を計上する。5100億円の赤字を計上することになるANAは社員の給料を3割カットである。

コロナ禍で繁盛しているのは、巣ごもり特需のゲーム機業界やネットフリック、飲食店の宅配代行、ネットショップ、テレワーク関連など極限られた業種しかない。それ以外は観光産業、飲食業に代表されるように「お客さんが来ない!」と軒並み業績を落としている。

財務体質が弱ければコロナ倒産が待っているだけで、信用調査会社の関係者は「9月から年度末にかけて倒産が増える恐れがある」と警鐘を鳴らす。

コロナ倒産を何とか防ぎたい政府としては、それまで対象業種から外されていた公的資金の融資をパチンコホールも受けることができるようになった。日本政策金融公庫が扱う新型コロナウイルス感染症特別貸付やセーフティネット貸付がそれで、一息ついているホール企業も多い。

「今年は公的資金と雇用調整金で随分助けられています。旧基準機の撤去も1年延長されて今年は何とか乗り切れても、問題は来年です。1年延期になった機械代がかかってきます。来年は黒字化に持っていかないと金融機関の見る目が厳しくなる。2021年の黒字化は大命題。切実な問題で、財務体質の基盤強化は今から頭が痛い」(都内ホール関係者)

同社ではコスト削減の一環として本社事務所を移転。従来に比べ事務所スペースは3分の1。家賃も3分の1に抑えている。その他、ボーナスも1割カットで固定費の削減に取り組んでいる。営業会議や採用もオンラインで行うことで間接費のコストダウンを図る。

間接部門は削減できても、一番肝心なのは機械代であることは揺るがない。しかも、完全6号機に移行した時、客の戻りを含め売り上げなど従来比で80%の中で、6号機の利益貢献が不透明なこと。

「6号機のように稼がないスロットは中古か、ベニヤ対応にする。おカネの使い方がよりシビアになるが、銀行の融資が厳しくならないためにも、ホールの大型倒産がでないことを祈りたい」(同)

ホールが財務体質の基盤を強化しても、お客さんが戻って来なければ始まらない。失業者が増えればホールが流行ったのは昭和の時代の話し。あの頃は失業してもすぐに次の仕事が見つかる状況だったので、失業中にパチンコをする余裕もあったし、今ほどおカネを使わなくても楽しめた。











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