100台の小型店舗でもやっていけるビジネスモデルがなければ地方からパチンコユーザーが消える

2020.11.16 / コラム

東京、神奈川、埼玉で7店舗運営するホール企業の社長が、友好関係にある都内のホールの社長に、売却話を持ち掛けた。

物件は都内の下町にある店舗。台数は定かではないが土地・建物で6億5000万円。すぐに買える金額だが、ホールを続けることには難色を示した。昔ならこの値段ならすぐに買ったが、低貸し主体では将来的に難しい。

更地にして転用するには解体費用におカネがかかるが、ビジネスホテルへの転用を検討したところ、大手2社が30年の定期借地で話に乗ってきた。まだまだ、都内ではビジネスホテルの需要はあるようだ。

しかし、新規で店を建てての低貸し専門店はない。既存店で安い中古機があるから低貸しは何とかやっていける。

ビジネスホテルやマンションに転用できるのは、人口密集地であるのは言うまでもない。これが地方ともなると、転用も効かず、廃墟になってしまう。

売却話を持ち掛けられた社長は、将来的に限界集落になる市町村の地図を持っている。危険な市町村は赤色になっていて、そういう地区からの売却話は端から断っている。

その地図に基づくと将来的に残るホール軒数は2600店舗となっている。

最盛期には1万8000軒のホールが鎬を削ったが、その時はまさに日本全国津々浦々にホールがあった。筆者の故郷である広島県の島でもパチンコブームの90年代は4店舗もあったが、今は1店舗に減っている。

「赤い地区でも100台ならやっていける。そうしないとパチンコホールがなくなる市町村が増える。パチンコホールがその地区からなくなれば、パチンコをする人はますます少なくなる。市場規模が小さくなったんならそれに合わせてコンパクトな店づくりを考えなければいけない。100台ではやっていけない、という先入観をまず払しょくすること」と話すのはこの売却話の場にいた業界関係者。

パチンコ業界の流れはこれとは真逆に新規店舗は大型店ばかりだ。スーパー業界が辿って道をパチンコ業界は追っかけているとも言える。

総合スーパーは高度経済成長時代のビジネスモデルで、環境の変化に対応できずに業績不振から抜け出せない。その代わりに台頭したのがコンビニであり、食品専門スーパーであることを業界も着目しなければならない。

コンビニのように店舗面積は小さくても利益を出す。100台の小型店舗でも利益を出す方法を考えなければ、地方からどんどんパチンコユーザーが消滅していく。





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