明るい廃墟「ピエリ守山」の復活劇からホールが学ぶものとは

2020.11.13 / コラム

パチンコ業界の周辺機器メーカーや関連業者が厳しいのは今に始まったことではないが、禁煙化とコロナ禍でさらに厳しさが増している。

「室内が禁煙化になったことで吸い殻回収装置のメーカーは完全にお手上げになったよ。メンテの仕事すらなくなった」(設備機器メーカー関係者)

吸い殻回収の件は予め分かっていた事態だが、打つ手もない。禁煙になれば喫煙関連の設備はほとんど不要になる中、コロナで例外的に生き残ったのは分煙ボードぐらいだ。

設備機器業者の嘆き節は続く。

「景気の良い頃は10年に1回ぐらいの割合で全面リニューアル工事があった。業績を立て直すためにもイメージを刷新して全面リニューアルで再スターを切るのが効果的だった。これで業者は儲けさせてもらったが、今はそんな大掛かりなリニューアルがないだけでなく、ちょっとした改装でナンバーランプを交換するリニューアルがあったが、それすらなくなった」

小物も動かない。

「珍味を扱っていた端玉景品も出ない。紙おしぼりも出なくなった。次亜塩素酸水を浸み込ませたもので付加価値を付けて売ろうかと思っている」

これはコロナの影響で客の戻りが悪いことが影響している。

ホールが儲からなくなれば、関連業者は直接影響を受ける。

では、ホールが儲かる=稼働を上げるためにはどうすればいいのか?

その参考になるのが“明るい廃墟”と揶揄されたピエリ守山(滋賀県守山市)の復活劇だ。

琵琶湖大橋からほど近い琵琶湖畔にショッピングモールがオープンしたのは2008年のことだった。施設内には200店舗のテナントが入った。ところが暫くすると、ピエリ守山を包囲するかのようにイオンモール草津や三井アウトレットパーク滋賀竜王などの広域大型ショッピングモールが相次いでオープンしたことから客を奪われることに。



業績不振からテナントの撤退が相次ぎ、200店舗あったテナントは3店舗まで激減した。それでも営業を続けていたことから、「明るい廃墟」と「綺麗な廃墟」と呼ばれるようになった。

そんな状況を立て直したのが総合不動産デベロッパーのサムティだ。同社が株式を取得して2014年12月にリニューアルオープンする。滋賀県下で初となる「H&M」などのアパレルショップが続々と出店させた。空中アスレチックや100メートルのジップラインは家族連れやカップルの遊び場となっている。

3店舗まで激減していたテナント数も120店舗まで回復している。

さらに、集客力を高めたのが2019年3月にオープンした総合温浴施設「守山湯元水春」だ。琵琶湖が一望できる露天風呂が魅力。今や一般客だけでなくビワイチを終えたサイクリストたちがひと汗流すオアシスとなっている。



運営会社が替わり、施設の魅力が増えると共に、集客力もアップしている。廃墟が今や滋賀県下で3本の指に入るショッピングモールへ変身した。

パチンコホールも経営が替わることで復活することはあるが、集客する魅力づくりが必要であることは言うまでもない。ピエリ守山の温浴施設に匹敵するものは、やはり出玉以外にはない。








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