ピデアな男 板橋 賢一(みとやJP錦糸町店 店長)

2020.11.10 / 連載

JR錦糸町駅から徒歩3分。ほぼ駅前という好立地で総設置台数176台のパチスロ専門店「みとやJP錦糸町店」を取材した。

店内に入るとほぼ満席、通路には客があふれる大盛況の様相。どうやら取材日と年に一度の集客日が重なったようだ。
年一とはいえ、これほどの稼働をつくりあげている板橋賢一店長の手腕はいかほどのものだろうか。

営業手法よりももっと手前にあるビジネスの根幹の部分を中心に、インタビューを行った。
板橋店長は、「距離感の近い接客」を掲げてはいるものの、果たしてそれだけが高稼働の要因なのだろうか。
その真髄に触れていく。

利益しか考えていない店は1年後閉店していると思います。
事業継続のためには利益も必要だけど、良いバランスを模索したいですね。

 

PiDEA編集部(以下略編) 今日の稼働は凄まじいですね。

板橋賢一店長(以下略板) おかげさまで、今日はエンタープライズさんのランキングで稼働率1位となりました。朝一の並びは410名様と台数オーバーのお客さまに来ていただくことができました。オーナーも私も日頃のお客さまからのご愛顧に対して感謝を示すことができたと感じております。

編 そんな高稼働店を切り盛りする店長についてお聞きしたいと思います。店長は業界歴はどれくらいになりますでしょうか。

板 みとや一本で26年勤めています。以前は北口の系列店に15年勤務していて。2010年からこの店で働いています。

編 屋号にある「JP」にはどのような意味が込められているんでしょうか。

板 ジャックポットという意味です。今はもう閉店してなくなってしまいましたが、元々はみとやの1号店である竜泉店にJPがついていて、そこからパチスロ専門店にはJPをつけようとなった、先代から引き継いできた伝統なんです。

編 年に一度の集客日とはいえ今日ほどの稼働(取材時点で9割稼働)となると、普段からいいのでしょうか。

板 全国平均よりも少し高いくらいです。いろいろSNSも使って告知もしましたし、お年寄りの方々には、口頭で「頑張りますので来てくださいね」ということを伝えてきました。

編 ちなみに今年はコロナの影響を受けられてこの稼働だと思うのですが、去年を超えることはできましたか。

板 さすがに前年よりは少ないですよ。

編 並びの多さは期待度の現れでもあるのですが、少しもったいない気もしますね。

板 410名様にお並びいただいたとはいっても176台しかないお店です。半分以上のお客さまは台が取れなかったことになります。なので、近隣の系列店をご案内したり、地域を一緒に盛り上げている隣のヒノマル様に流れていただいたりしました。

編 競合店を案内するっていうのは太っ腹ですね。

板 ライバル店ではありますけども、一緒に錦糸町を盛り上げるには自店だけよりも地域全体で盛り上がることが必要です。やはり地域内の稼働だけに頼るには限りがありますので。

編 いかに高稼働店といえども、このコロナというのはやはり大変でしたか。

板 1カ月間くらい休みましたし、私も今まで経験したことのない出来事でした。オーナーもなかなか苦しかったと思います。それでも誰一人やめさせなかったし、緊急事態宣言が明けた後も、すぐに利益優先にせず、なんとか今現状できることをやって、何をすればお客さまに戻ってきていただけるかを追求してきました。今でも8割ほどしか回復していません。

編 休業期間中は葛藤もあったのではないかとお察しします。

板 正直、他の店舗が営業しているのを見て、「社長、やったもん勝ちじゃないですか。うちも営業しましょう」と言いました。でも社長は、「従業員やお客さまが感染してしまったら店だけじゃなく会社、ひいては業界全体の責任になってしまうんだぞ。それは良くない」と私を含め店長陣を諌めたんです。

編 誠意のある対応に脱帽です。そういう姿勢も含めて支持されているのでしょうね。

編 では、板橋店長が考える理想の店舗像とはどのようなものでしょうか。

板 私は15年ほど主任として働いてから店長になりました。より近い距離感で実際にお客さまと話をしながら、私の人間性を分かってもらうことをモットーとしています。こういうスタッフがいたらまた来たいなと思われる動きをしよう、と。上の立場の管理者であろうと、スタッフであろうと、お客さまと近い密接な関係性をつくることを第一に置いて、それを実践し、全スタッフに波及させていきました。それは理想といえば理想ですね。

編 板橋店長と話していて、たしかに心理的な壁のなさみたいなものを感じます。それ以外に力を入れてきたことはなんでしょうか。

板 一番熱を入れたのは店内の装飾ですかね。この店に来た時に何が一番のオススメなのかをお客さまに分かっていただくこと。これが重要だと思います。

編 具体的には?

板 当店の約46%はジャグラーなので、ジャグラーの装飾は一番お金をかけました。

編 お金をかけるべきところはかけるべきなんですね。

板 今業界的にはコストカットに視線が向いているかと思います。当然当店にも各台計数機や自動補給の話もあります。これらは設備的にはコストカットができるのですが、私のパチスロ観というのは出したメダルを自分で箱に詰めて上に重ねていくというところも含めて楽しさなんだと思います。当然各台計数機なら手間暇もかからなくていいと思うけど、そういう作業1つとっても、「今日出てますねー」というコミュニケーションができるじゃないですか。

編 そのちょっとした一言も、距離の近い接客につながっているんですね。

板 ただ指をくわえて待っていればお客さまが来る時代じゃないと思っています。当然広告宣伝規制など法令は遵守することが前提なので、どこまでご案内していいのかというのはありますが、もし自分がお客さま目線だったら、何もしていないホールよりは営業戦略をちゃんと発信していくホールの方が魅力的だと思います。

編 たしかに何を考えているのか分からないお店よりも、意図がなんとなく分かるお店の方が選ばれるような気はします。

板 そういうところを念頭に入れてこの26年間突っ走ってきましたね。だんだん現場を任されるようになって、店を任されるようになって、機械の購入、選定、配置、そういうところも任せてもらえるようになってきました。今の社長は同世代なので意見もしやすいですし、「俺も日々勉強だから」といって今も現場に出たりすることもある人です。

 


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