航空会社へ40人の受け入れを打診したホール企業
2020.10.30 / コラム日報では航空会社からホールへ転職した女性スタッフの事例を紹介したが、コロナ禍で5100億円の赤字を出しているANAに対してJALは2300億円の赤字、と航空各社は大変な決算となっている。リーマンショックの時、ANAは573億円の赤字を計上しているが、世界的に人の移動が制限されると赤字額は約9倍に跳ね上がった。
マスコミが注目するのはどうしても赤字額が大きいANAの方になってしまう。ANAがJALの倍以上の赤字を出しているのは、次期花形機となる総2階建てのA380(1機500億円)をハワイ路線に投入したり、東京オリンピックや大阪万博に向けての拡大路線を取ってきたことが原因とされている。
コロナがなければ、今年は東京オリンピックが盛大に開催され、政府が目指していた訪日観光客4000万人を達成し、ANAは2000億円の黒字を出しているはずだった。拡大路線は間違いではなかったが、国際線は90%の減便が続いている。
5100億円の赤字に対して、ANAホールディングスの片野坂社長は「様々な施策によりANAグループ4万6000人の社員の雇用を守る。来年度は確実な黒字化とアフターコロナを見据えた中期展望にある」と明言している。
航空会社は人件費と飛行機のリース代が固定費の5割を占め、燃料代、空港使用料などの変動費が4割で、利益は1割しか残らない。
ANAはリストラをしない代わりに給料を3割削減したり、来春には400人をノジマや成城石井などグループ外の民間会社へ出向してもらって、給料はそちらの会社で貰いながら社員の雇用を守ろうとしている。国際線が再開すれば今の人員は必要だから、おいそれとリストラはできない。
ANAの出向計画の発表を受けて、さっそく色々な企業から受け入れの打診が来ている、という。
ANAかどうかの確認は取れていないが、窮状の航空会社に対してホール企業が期間限定で40名を受け入れるとの打診をしたとの情報もある。給料は現状支給されている額をホール企業が全額保証する。
ホール企業が受け入れるのはやはり航空会社の社員はCAだけでなく、地上勤務の社員も高い接客スキルと危機管理能力が長けているので、受け入れるホール企業にとっても、刺激になる。
そういう思惑もあり、受け入れを打診したのだろうが、結果的には断られている。
考えられることはパチンコ業界のイメージの悪さだろう。コロナ禍でも緊急事態宣言下、休業要請に応じなかったホールが連日テレビのワイドショーを賑わせたばかり。
依然として依存症やギャンブルのイメージが解消されていない。こうした根本的なイメージの悪さから脱却を図らないと受け入れ先として認めてもらえない。