またぞろ換金税が浮上? パチンコ業界は打ち出の小槌ではない

2020.10.28 / コラム

菅義偉官房長官が総理になる直前に横浜の港湾のドンこと藤木幸夫会長と手打ちをした、という情報が一部週刊誌で流れたことがある。

横浜市議時代から叩き上げの菅氏を応援し続けて昵懇の仲だった藤木会長との間に亀裂が入ったのは3年前、菅総理が官房長官時代に横浜にIRを誘致しようとした時からだった。

それまで藤木会長自身、誘致には賛成だったが、ギャンブル依存症問題を吹き込まれてからは反対派に回った。

「(カジノは)人に迷惑をかけている。海外では依存症で家庭が崩壊しているどころか、街が死んでいる。ラスベガスに行った友人からは『カジノに大金をつぎ込んだ揚げ句、財産を失って国にも帰れなくなっている高齢者がたくさんいる』と聞いた。日本ではそんなことを誰も報告しない。(カジノ業者は)外国の金融マフィアといってもいい人たち。荒稼ぎして外国にお金を持って帰っちゃうと容易に想像できる。影響を受けるのは横浜に住む一般家庭だ。面白そうだからと行ってしまい、お金を失い、残るは依存症だけということになりかねない」(藤木会長)

で、IRカジノでは仲たがいしていたが、菅氏が総理になることが確実になったところで、9月の初旬に手打ちしている、という。首相になると動静が新聞にも発表される。藤木会長と会ったとなれば、色々詮索されるのでその前に手打ちを図った、ということのようだ。

ただ、藤木会長も一度上げたこぶしを簡単に振り下ろすことはできない。カジノ反対では立憲民主党の枝野幸男代表と手を組みカジノ誘致反対で連携する。藤木会長自身はカジノなしで再開発を計画する「横浜港ハーバーリゾート協会」のトップでもある。

「藤木会長がカジノに反対する理由はギャンブル依存症対策の一点。ここをしっかりやる、ということで手打ちができたようですが、ギャンブル依存症対策をするにも財源が必要になる。そこで再びターゲットになるのがパチンコの換金税です。既成事実の換金を認める代わりに換金税を取り、それをギャンブル依存症対策の財源にする。ギャンブル依存症対策に税金を使えば国民の反対は必至。しかし、ギャンブル依存症が一番多いパチンコから財源は徴収するので国民の反対も起こらない。タバコは値上げしても大半が吸わないので、文句も出ない。これと一緒でパチンコで財源を確保するのだから文句も出ない」(自民党関係者)

2014年2月、「時代に適した風営法を求める議員連盟」が、パチンコ業界から新たな財源として、パチンコ税を取りたいと虎視眈々と狙っていた。換金するときに客から1%の「パチンコ税」を徴収して、年間2000億円の税収確保を目論む案を提出したことがある。20兆円市場の1%で2000億円という数字を導き出していた。今回の換金税では10%なんて数字も飛び交っている。2兆円の財源だ。

かつては業界を大きく見せるために貸し玉料金の売り上げで市場規模を語っていたが、売り上げから景品出庫額を引いたネット会計で実態に即した数字を出さないと、困った時のパチンコ税とばかりに食い物にされるだけだ。

そもそも遊技人口は年々減少し、低貸しが主流となり売り上げも、粗利も右肩下がりのパチンコ業界は打ち出の小槌ではない。






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