借金500万! 多重債務者の青年をリカバリーサポート・ネットワークは救えるか?

2020.10.13 / コラム

 

 

 

文章/犬

5年間のサラリーマン生活を辞めた直後に遊びに行ったカジノで全財産を失い、500万近くの借金を抱えてしまった無職。...

 

 

 

文章/犬

◎5年間のサラリーマン生活を辞めた直後に遊びに行ったカジノで全財産を失い、500万近くの借金を抱えてしまった無職。大抵のギャンブルは知っているが、丁半博打が一番好き。色んな人に叩かれて悪目立ちしたのが悔しくてYoutubeも始めた。将来はカジノに住みたい。

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アンタの名前は今日からRSNだよ。

こういった内容の話を書くにあたって自己紹介をするというのはとても恥ずかしいことだが、僕は普段「犬」という名前でインターネット上でギャンブル依存症あるあるをyoutubeや日刊誌に投稿して小銭をもらっている。当然その金では生活できない上に借金もあり、ギャンブル依存症にも現役で悩まされる。そんな中での出会いだった。リカバリーサポート・ネットワーク…聞かない名前だね。アンタの名前は今日からRSNだよ。キャッチーな名前にしてもっと世間の認知を受けな。

本当に聞かない名前だった。そもそも、ギャンブル依存症にはいくつか種類があるが、僕はギャンブルを辞めるつもりがない。歳をとり、大人になって、好きなことを好きなようにしたっていいじゃないか。ターニングポイントを過ぎる度に思ったよりも自分の人生がしょぼいことに気づいていき、「普通の大人」になっていく。昔見た理想よりも明日の酒の方が大事だし、世界を変えられないならせめて自分が楽しいことをしたい。身近で肌に合ったのがギャンブルだった。そのギャンブルに対して「依存症」という悪いイメージを乗せるのが嫌だった。ギャンブル依存症の互助会などは「ギャンブル」を「悪」として捉えているように思えたから、どれだけ自分が一人悩んでいても、そういった場所に行くことでギャンブルにハマった人生そのものを否定する気がしていた。だからきっかけがなければ一生このままだったかもしれない。

連絡を取ったのは「ぱちんこ依存問題相談機関リカバリーサポート・ネットワーク」というところだった。パチンコ屋の中で小便に立つ時に、ふと顔を上げるとよく目が合うあのポスターに書いてある電話番号だ。今回はパチンコに行ってない状態で電話をかけたので、極めて冷静に、僕自信がギャンブルとの向き合い方で迷っていることを率直に聞くことにした。

 

 

僕もはじめは人の形をしていた

僕のギャンブル、とりわけパチンコとの向き合い方を啓発ポスターに答える形で箇条書きをすると以下のようになる。

Q.パチンコをするためにウソをついた A.ない。
パチンコのためにウソをついて金を借りたり、予定を反故にしたことはない。その時に何よりも優先してパチンコが打ちたくなるような中毒症状を覚えたことはない。

Q.使ってはいけないお金を使ってしまった A.ある。
家賃に充てる金が数万円足りない時などに一発逆転狙いで打つことがある。人から預かっている金を使ったことはないが、自分の生活範囲に対してはおざなりになってしまう。逆に迷惑をかけていないならいいだろう、という開き直りの感情があるかもしれない。

Q.負けを取り返そうとして、途中で止められなくなった A.ある。
これはある。大いにある。そもそもギャンブルをしている時に熱くなったら負けという状態は存在せず、もう弾を打ち切った時に初めて「ああ、負けたのか」と気づくので、賭けられる金がある限り僕は歩みを止めない。

Q.やり始めると、時間や金額が分からなくなってしまう A.ある。
頻繁ではないが、「ゾーン」のようなものに突入すると精神と時の部屋に入ってしまい、追加投資した記憶すら残っていないのに財布が空になってしまう。

Q.パチンコをするために、お金を借りた A.ない。
僕のパチンコへの依存症状はパチンコを打ち始めてから始まるもので、金を借りるきっかけは生活費以外にはない。ただ、使ってはいけない金を使った後に生活費を借りに行くので実態としてはパチンコをするために金を借りているのかもしれない。

Q.パチンコが原因で、大切な人とケンカになった A.ない。
パチンコに関わる喧嘩のすべてはパチンコを打つ側の人間が悪い。友達にも怒られたことはあるが喧嘩をしたことはない。金を借りて逃げた、とかなら該当しそうだが。  こうして見るとパチンコが原因で対人関係が破綻しているわけではない。珍しいタイプじゃないと思う。テレビや漫画で見るギャンブル依存症の典型例は、身ぐるみ全部脱ぎ捨てて人間関係も壊滅、やむにやまれず悪事に手を染めるも、思慮深さは最初から持ち合わせてなくてすぐに酷い報復に遭ったり……と散々だが、実際この段階の人間を救うことはほとんど不可能な上に、ギャンブル依存の段階としては手遅れだ。病魔が命を刈り取るのにも魂に近づく必要があるように、ギャンブル依存症による悲劇も時間がかかるのだ。パチンコにハマっていきなりクライマックスが訪れるわけではない。徐々に、服のほつれが拡がるように、じっくりとダメになっていく。僕もはじめは人の形をしていた。

 

 

小石を探して取り除いていく

事前に聞く内容を詰めて昼過ぎに電話をかける。本来こういった機関に連絡する時は内なる後悔の慟哭が鳴り止まない苦しさに耐えられなくなった時だろうから、きっと朝一から並んで使ってはいけない数万円を失くしてしまって初めて衝動的にかけるのが多いのだろう。

数コールの後に、威圧感のない女性のオペレーターが応じる。

「すみません、パチンコ依存症についての相談を受けたいのですが」
「取材ですか?相談ですか?」
「相談です」
「ああ、そうなのね。どういった相談になりますか?」

田舎にある見知ったお店で、話しているうちに客と店の境目がわからなくなってくるような、そんな親戚のおばちゃんみたいな人だった。緊張が解れる。これから話す内容を理解してもらえるか不安はあったが、気の抜けた雰囲気を作ってもらったので、変に気を張らずに本音を話せる安心感もある。

僕は自分の症状について以下のように話した。

・中毒性を自覚していない
・突然無自覚に行くことがある
・金額の歯止めがどうしても効かない
・熱心でなくても止まらないタイミングがある

パチンコに行きたくて仕方がないというより、暇潰しとして行くパチンコの中に、ふいに歯止めが効かなくなってしまうタイミングがあるということを伝えた。あくまでギャンブルを止めるつもりはなくて、上手く付き合っていくために弊害になっていると思う部分を話した。

「他のギャンブルはやってしまうの?」 と聞かれ、カジノで1000万近く負けたことがある話をすると、 「あらら〜、結構やってるのね」 と笑ってくれた。僕の声色も落ち込んだものではなかったので不快には感じなかった。ギャンブル依存症は過去の失敗を笑ってほしい。と、僕は思う。当然ギャンブルでの失敗談が現在の食い扶持になっているからというのもあるが、ギャンブルでの負けは失うものばかりで何も残らないから、笑い話になって多少の意味を与えられると救われる。

「パチンコの仕組みを知ってる?」
「専業の人はスッパリ辞めているのよ」
「手を付けちゃいけないお金を使ってないなら思い詰めることはないよ」

親戚のおばちゃんは感情の色んな角度から矢継ぎ早に話してくれた。とにかく心のモヤを晴らすことが目的なのかもしれない。心理学に基づいた理論、なんてものは最初から出てこないとは思っていたが、とにかく不安の角を取るのは上手だった。

「何が問題なの?」 と繰り返し聞かれて思ったのは、パチンコをしている自分自身を理由なく罰する感情はきっと良くないのかもしれない、ということだ。僕自身はかなりゴキゲンに生きているクズなのでそんな自罰行為はしないのだが、パチンコの悪い部分に巻き込まれてしまう人の中には、パチンコを打ってしまう自分のすべてがダメで、とにかく人生をやり直したいと願いながらも我慢できない現状に絶望している人もいるかもしれない。

親戚のおばちゃんの電話対応によって「問題となる結果」と「その原因」を自分で紐解いていく作業をさせられた。見えない霧の中で転んで傷つくのを嘆くのではなく、先は見えなくとも目前の霧を手で払い、一歩先にある小石を探して取り除いていく……。

リカバリーサポート・ネットワークに電話をかけたからもう安心、と油断して外に出るのではなく、考えさせようとしていた。これは電話をする側の心の持ち方がとても重要かもしれない。身内の相談を受ける時はこの部分を意識するといいだろう。

 

 

小便をしながら蜘蛛の糸を見る

15分ほど話してみて、正直な感想を言うと、僕が抱える問題が解決することはなかった。正確には、 「人に決定的な迷惑をかけていないならいいじゃない」 ということだった。きっと僕のようなタイプは、現在行われている電話相談に向いていない。自分の中に独自の理屈を持っていて、多少の意見では曲がらず、パチンコを打つ自分を反省せず、そんな屁理屈の塊みたいな人間は自分を変えようと思っていないからだ。授業を受ける時の姿勢と同じく、人の話から学びを得たいのであれば前傾姿勢で耳を前に差し出す必要がある。今回はかなり斜に構えた態度で聞いてしまっていたのかもしれない。本気で考え方を変えたい時に俯瞰することは完全な悪手だった。

パチンコは楽しい。大人になって一番楽しいと思える娯楽だ。楽しい故に足元の穴に気付きにくい。穴に落ちかけた人を救うための機関としてリカバリーサポート・ネットワークがあるのは非常にいいことだと思った。絶望しながらトイレに行く度に、我々は小便をしながら蜘蛛の糸を見る。

電話を切り、そのポスターを見るためにパチンコ屋に行った。ついでに予算5000円と決めてパチンコでも遊んだ。前のめりになってしまったが、おばちゃんの声が頭の中に反響し、6000円でやめた。ありがとうございました。

 

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