ウエディングプランナーがホールへ転職

2020.09.22 / コラム

新型コロナウイルスの感染拡大で深刻な影響を受けている業界の一つにブライダル業界ある。

業界団体が全国の結婚式場への調査などをもとに推計したところ今年3月から9月までにおよそ17万組の結婚式が延期や中止となり、業界全体の経済的な損失はおよそ6000億円に上ることが分かった。

そんな中、業界が恐れていたことが7月に起こった。

滋賀県の結婚式場で披露宴の参加者が、新型コロナウイルスに感染していたことが分かった。式場は7月24日から26日まで自主休業して施設の消毒を実施。27日から営業を再開した。

婚礼客の中から感染者が出たことは業界全体にとって一大事である。大手ウエディング企業の多くは、今年の春に予定していた結婚式を秋以降に引き延ばしていたためだ。この婚礼客が大量にキャンセルをすることになれば、太い生命線の一つが断ち切られることになる。

結婚式場側がどれだけ綿密な感染対策をとったとしても、新郎新婦や親族、ゲストが結婚式そのものを望まなくなればキャンセル数が増大する。影響を最小限に抑えたとしても、小規模な披露宴で済ますカップルが続出し、婚礼単価が下がる可能性がある。

例えば、招待客が60名だと平均単価は320万円となるが、人数が20名ほどになると単価は120万円まで下がる。パチンコ業界以上に厳しい状況に置かれているのがブライダル業界とも言える。

そんなブライダル業界に見切りをつけたウエディングプランナーが北関東のホールに就職した。

「いつ回復するか分からないし、今後はジミ婚が増える。披露宴会場は密になりやすい。50人入る会場でも25人以下に抑えなければなりません。食事の時も静かに食べて、余興も控えるような状況です。式の相談はありますが、結局は両家の親族だけでおカネもかけなくなりました」(A子さん)

前職で彼女がやっていたプランナーの仕事は、結婚式場の下見に来るカップルに対して、式場の魅力、プランの魅力を伝えることから始まる。カップルはすでに色々な式場を見学しているので、その中から選んでもらえるよう、自社のプランや式を魅力的に伝えることが求められた。

実際にカップルに選んでもらったら結婚式の企画に入る。

企画ではお客様の要望をヒアリングし、どんな結婚式にしたいのか、何に重きを置きたいのか、何人招待したいのか、など具体的なことを決めていく。

運営は当日、計画通り滞りなく、結婚式を管理する

現場の責任者や司会とコミュニケーションを取りながら、新郎新婦や参加者全員が満足できるよう運営する。新郎新婦や両親、当日のスタッフなど結婚式をするにあたって関わる関係者がたくさんいる。たくさんの人と関わる必要がある職種であるため、コミュニケーション能力が求められた。

このホールには彼女以外に同僚1人も働くことになった。それだけではない他の結婚式場から別のホールに就職した女性が2人いる。つまりブライダル業界から4人がホールに就職したことになる。

「地元にはスーパーか小売店かホールぐらいしか働くことがありません。その中でも時給が高かったのでホールを選択しました。他の業種の面接も受けましたが、みんなびっくりしたのがホールの対応が良かったことです」

一方、彼女らを採用したホールの人事担当者はこう話す。

「ウチにはいないタイプの人材だったので採用しました。ウエディングプランナーの経験がホール運営にも役立つ。ブライダル業界にいたので接客も言葉遣いもきれいで、ホールにとっては5年先、10年先を見据えたいい人材が採れるまたとないないチャンスです」










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