コロナウイルスの接触感染予防で光触媒が注目

2020.09.14 / コラム

光触媒(酸化チタン)は、酸化チタンに太陽などの紫外線が当たると酸化チタン内部で正孔(h+)と電子(e-)の分離が生じる。正孔(h+)と電子(e-)はそれぞれ酸化力、還元力を持ち、酸化チタン表面に接触する物質と化学反応(酸化還元反応)を起こす。これらの化学反応によって生じる分解力によって、有害な物質を分解・除去・無害化する技術でもある。

その強い酸化還元作用と超親水作用によって次の効果が認められている。

・自浄効果(セルフクリーニング)
・消臭効果
・防カビ効果
・抗菌効果
・ウイルス効果

これらの効果のうち、20年以上前、パチンコ業界で注目されたのが消臭効果だった。店内の壁に光触媒を吹き付けると、長年壁に染みついたタバコの臭いが分解されて、ホール特有の嫌な臭いが解消される、というものだった。ただ、空気清浄機が高性能になったため、光触媒を消臭効果として使うことは広まらなかった。

ところが、ウイズコロナ時代に光触媒の抗菌・ウイルス効果が俄然注目されている。理由は一度施工するとその効果は長期間に亘って持続し、菌やウイルスを不活性化させるからだ。

光触媒の一つであるイオニアミストプロを福岡県小郡市が採用し、小郡市役所と三国小学校に施工した。その模様が8月9日、九州朝日放送のローカルニュースで全国初の「吹き付ける」コロナ対策として紹介された。



この中でイオニアミストプロについて次のように紹介された。

光触媒を用いたイオニアミストプロを壁などに吹き付けることで、ナノレベルの二酸化チタンが付着する。チタン粒子に光が当たると活性化酸素と同じ性質のイオンが発生する。イオンがウイルスなどに付着するすると、ウイルスを酸化させる。酸化されたウイルスは不活性化され、有害ではなくなる。それによって感染被害を抑えることが期待されている。

小郡市の加地良光市長は「市民の皆様が少しでも不安から解放される。こういう素晴らしい最先端技術があることを多くの方に知っていただき、活用が広がることを願う」と述べた。

光触媒作用が常時働き、菌やウイルスの有機物を分解して不活性化させるので、接触による感染リスクを低減させる。感染リスクが多い医療現場や大手家電量販店でも施工されているほか、ハンドルやレバーを常に触るパチンコホールでの採用も始まっている。



では、実際に施工するとどう変わるのか?

除菌の効果測定ができる器具がATPふき取り検査システム「ルミテスター」(ATP測定器)だ。これを使い清浄度を数値で確認できる。



原理を説明する。

すべての生物の細胞内にある「ATP」という物質には、酵素と反応して発光するという性質がある。ルミテスターは測定対象物に、どれだけ生物の細胞が存在するかをATP発光量で数値化することで清浄度が確認できる。

発光量はRLU(Relative Light Unit)でという単位で表示される。

清潔の基準は手指で1500/RLU以下、その他は1000/RLU以下とされている。

テスト方法はこうだ。

ホールで客の手が一番触れる遊技機周りを水に濡らした綿棒で拭き取る。イオニアミストプロを施工する前に測った結果、3320/RLUという数値になった。



イオニアミストプロを施工した後では、313/RLUまで下がったことが分かる。



最大の特徴は、施工後に人の手が触れると一旦数値は上がるが、時間の経過と共に、除菌効果が発揮され再び低い数値まで下がることだ。効果が長期間持続するので毎日の除菌作業からも解放される。

一般的な酸化チタンは粒子が大きく反応するためには太陽の強い紫外線を必要とし、室内では効果が薄かった。イオニアミストプロは二酸化チタンの粒子をナノサイズまで最小化したことで、室内の蛍光灯やLEDの可視光線でも十分に効果を発揮することが特徴でもある。

イオニアミストプロの問い合わせ先は真誠建設工業まで。






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