ハイビスカスの商標権を考える

2020.09.07 / コラム

ハンドルネーム「明治よね」さんがハイビスカスの商標権について物申す。

2020年8月31日に(株)パイオニアが自社HPに掲載したプレスリリースから50年後ではなく直近の業界を考えてみました。

このプレスリリースの要旨は、以下の①②


(株)パイオニアは、第三者によるパチスロ及びぱちんこ遊技機に関する「ハイビスカス商標」の使用について「形状等が近似するものを含めて」類似する商標の使用を禁止することができることとなります。


第三者によるいわゆる「ハイビスカスモチーフの遊技機」の「今後のリリース」に対しては(株)パイオニアの商標等、(株)パイオニアのブランドを尊重していただくように要請する準備があります。

プレスリリースの内容を要約すると
(株)パイオニアは、パチスロだけでなく、ぱちんこ遊技機に対しても「ハイビスカスをモチーフ」にする独占権(商標権)を獲得しました。

そのため、他社が仮に「「ハイビスカスをモチーフにした遊技機」を販売する場合は、この独占権に基づいて権利行使(販売差止など)を行う用意があります、というものです。

ここで、歴史的事実は、以下となっています。

1992年に盤面全体に複数のハイビスカスが描かれた「ブルーハワイ(三洋)」というぱちんこ遊技機が販売される。
なお、図柄にもハイビスカスが存在している。

1994年に盤面の液晶上部右にハイビスカスが描かれた「Fワールド(三共)」というぱちんこ遊技機が販売される。
1995年に風車にハイビスカスが描かれた「Fビーチ(三共)」というぱちんこ遊技機が販売される。
1997年に「ハイビスカスをモチーフにしたパチスロ」が(株)パイオニアから販売される。
2006年に「ハイビスカスをモチーフにしたJACKPOTトロピカルVerというパチスロ」が岡崎産業(株)から販売される。

そして、
2020年に本プレスリリースが公表される。

個人見解

パチスロに対してのみ「権利行使」を宣言することは、妥当だと思うけど・・・
パチスロだけでなく、ぱちんこ遊技機に対しても「権利行使」を宣言した(株)パイオニアは、やりすぎ!!
ただ、ハナハナのロゴに非常によく似たロゴを使用しているぱちんこ遊技機が市場にリリースされているため、(株)パイオニアの怒りは非常によくわかる!!

しかし、それ以外のぱちんこ遊技機メーカーをも脅すようなこのプレスリリースの内容は、やっぱりやりすぎ!!

個人見解へ至った理由

歴史的事実から「ハイビスカスというモチーフ」をぱちんこ業界に持ち込んだのは、(株)パイオニアではない可能性が高い。

それなのに(株)パイオニアは、
『「ハイビスカスをモチーフにしたぱちんこ遊技機」を販売する場合、この独占権に基づいて権利行使を行う用意がある』
と全ぱちんこ遊技機メーカーに対して宣言するのは、さすがにやりすぎだと思うんですよ。

さらに、前述の歴史的事実から、人によっては、

『ぱちんこ遊技機で採用されていた「ハイビスカスというモチーフ」を1997年に(株)パイオニアがパチスロでパクっただけ』という陰口をたたかれるてもおかしくない状況となっています。

さてさて(株)パイオニアのプレスリリースに起因して、今後どのような展開に発展するか非常に楽しみです。

(株)パイオニアが、全ぱちんこ遊技機メーカーを相手に一歩も引かない姿勢をとるのか?
それとも、「●ナカ●」というぱちんこ遊技機だけをターゲットにしているのか?
久々にこの業界で、泥沼訴訟が起こる未来を予測しています。

ちなみに、前述した(株)パイオニアの独占権(商標権)は、「無効審判」という手続きを経て取り消される可能性がありますが、この無効審判を請求できる期限は、2022年1月までとなっています。あとわずかな期間しかありません。パチスロ及びぱちんこ遊技機メーカーの知的財産部員の方は、すでにご存じかと思いますが、開発関係者が知財関係者に依頼しないと、知財部員は動きませんよ。

また、仮に、1997年以前に発売したぱちんこ遊技機のモチーフをパクったのが事実であれば、(株)パイオニアが権利行使を主張しても「それは権利の濫用」であるという理由で権利行使ができない可能性もあります。

長文失礼いたしました。





オリジナルサイトで読む